セレンは水銀・カドミウム・鉛などの重金属の毒性を無毒化したり、放射線による影響を軽減したりする作用をもっています・・・
{分子栄養学栄養素編:ミネラル}
セレン(セレニウム)燃える時に月のような光を放つので、ギリシャ語の月「セレン」にちなんで名付けられました。金属元素と非金属元素(イオウや酸素など)の両方の性質を持ち、化学的な性質はイオウによく似ていますが、はるかに反応しやすいミネラルの中の必須微量元素です。「通常の食事をしていれば不足はない」とされてきましたが、近年、食生活の欧米化に伴い、魚介類を食べる機会の少ない人や極端なダイエットをする人の増加で不足する人も増えてきています。
セレンは、体内での過酸化物質を分解する酵素の構成成分で、ビタミンEと一緒に抗酸化物質として作用し、正常な細胞活動の副産物であるフリーラジカルによる損傷から細胞を保護します。このような働きで、老化の進行を遅らせる、狭心症・心筋梗塞・ガンなどの予防に役立つと期待されています。
■アンチエイジング効果=細胞のサビつきを防止!過酸化脂質を分解する酵素のひとつ、グルタチオンペルオキシターゼは、細胞を活性化させガンを誘発する活性酸素の働きを抑制します。この酵素を活性化するのがセレンです。活性酸素は殺菌作用などを担っているのですが、過剰反応は正常な細胞まで攻撃するので、からだのサビや老化を招いてしまうのです。その他にも、心筋梗塞やリウマチ、アルツハイマー症、白内障の患者では、グルタチオンペルオキシターゼの活動が弱いという報告があります。セレンは、ビタミンEの約100~500倍もの抗酸化作用から著しい臨床効果を残しているのです。
■有害物質からからだを守る水銀は水俣病の原因物質として有名です。海産物にはセレン濃度が高いことが知られていますが、特に、マグロには高濃度の水銀が存在しますが、マグロ自身が水銀中毒症を示すことはありません。なぜなのか。それはマグロにはセレン含有量も高いからだとされています。ここからセレンは水銀と結合して、毒性の低い物質を作ると考えられるようになったのです。
水銀・カドミウム・鉛などの重金属の毒性を無毒化したり、放射線による影響を軽減したりする作用をもっています。ですから、水質汚染や大気汚染・多量の薬物摂取・抗がん剤を使っている人では、その消費は大きくなります。
■セレンは精子の活性人精子の生成に深く関係していて、最近では不妊症の原因としても注目されています。細胞精子にはセレンが大量に含まれていますが、体内に入ったセレンの25~40%は生殖器に集中します。男性が射精する時に、精液とともに大量にセレンが失われていることをご存知でしょうか。精子での脂質の酸化が進むと過酸化脂質が増え、精子の運動性などの機能に影響を及ぼすとも言われています。その他に甲状腺ホルモンの活性に影響を与えます。甲状腺ホルモンは、からだの新陳代謝を促す働きがあって、成長や発育には欠かせないものです。この発育と生殖に関しては、ビタミンEより有効とされています。
【1日当たりの摂取基準】成人男性で60μg/成人女性で45μg(許容上限摂取量は250μg)
セレンは欠乏症と中毒症の間の適正量の幅が非常に狭いミネラルです。
【過剰症】急性では吐き気、悪心、嘔吐、下痢。慢性では、疲労感、食欲不振、爪の変形、抜け毛やふけの増加など
【欠乏症】貧血、高血圧、精子の減少、ガン(特に前立腺がん)、関節炎、老化など
メグビー
http://www.megv.co.jp/web.php?p=kouza1e&tpl=selenium より転載しました。
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