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★宇宙は無数にあるのか? その3

 宇宙インフレーション理論についてブログを書き進めているのですが、今回の観測結果がもたらす影響は大変な大きかったようです。
講談社ブルーバックスから出版された『超弦理論入門』の著者である大栗博士は、この発表について自らのブログで次のように述べられています。

  「これを聞いて、私はとてもワクワクした。宇宙の誕生直後の様子がわかるようになっただけでも素晴らしいが、この発見は、自然界の基本法則の探究という物 理学の大きなテーマを、次のステージに進めるものでもある。また、私の研究対象である超弦理論とも深いかかわりがある。」
 今回の発見には、一昨 年の夏に発表になったヒッグス粒子の発見と共通する部分がある。ヒッグス粒子は、素粒子の間に働く力の性質を説明し、素粒子の質量の起源を明らかにするた めに、今から50年前に理論物理学者が紙と鉛筆で計算して予言したものだった。そして、一昨年のヒッグス粒子の発見と比較して、
 「理論的予言が 長年たって検証されたという点では共通する二つだが、科学史においては、今回の発見が正しければ、ヒッグス粒子の発見よりももっと重大な事件になると思 う。いずれも偉大な業績であり、その重要度を比較するなどもってのほかとお叱りを受けるかもしれないが、そのように思う。」
 「今回の発表が正し ければ、つい最近まで検証不可能ではないかといわれていたインフレーション理論。その最も重要な予言が確認されたことになります。これは、理論物理学者と して大いに勇気付けられることです。BICEP2の発表で幕を開けた初期宇宙や量子重力の効果の実験的研究は、これから大きく発展しそうです。」
 「この観測で検出された偏光が初期宇宙のインフレーションを起源としたものであると確信するには、まだ追試が必要なようです。」

 大栗博士が述べられているように、これらすべての発言に対して、今後の物理学に対する希望が含まれているようです。


 インフレーションやダークエネルギーの理解に欠かせない「真空のエネルギー」という概念は、もともと宇宙論から出たものではありません。これは、素粒子物理学における「力の統一理論」に関わるものです。

  力の統一理論とは、自然界に存在する「重力」「電磁気力」「強い力」「弱い力」という四つの力を統一する理論のことで、日常的に人間が体験できる重力と電 磁気力に対して、後ろの二つはミクロの世界だけで働く力なのです。「強い力」は原子核の中で陽子と中性子をくっつける働きをする力、「弱い力」は原子核の 崩壊を引き起こす力です。

 この四つの力の働きは、それぞれ別々の理論によって解明されてきました。しかし物理学者は、できるだけシンプ ルな原理や法則で自然界を説明したいと考えますし、それができるはずだという信念を持っています。下の図は統一理論の予想する「力の系統図」をエネルギー レベルで描いた図です。
画像データtouitu2

  たとえば、今は一つの力として扱われている電磁気力は、かつて「電気力」と「磁気力」という別々の力だと考えられていました。それを理論的に統一したの が、一九世紀の物理学者マクスウェルです。それと同じように、四つの力を一つに統一したい。それが物理学における大きなテーマなのです。それは決して簡単 なことではありません。

 たとえばアインシュタインは晩年に電磁気力と重力の統一理論(つまりマクスウェル理論と相対性理論の統一)に挑戦しましたが、それを果たすことはできませんでした。現在も、それは実現していません。

 しかし1967年には、「電磁気力」と「弱い力」を統一する理論が誕生しました。アメリカのスティーブン・ワインバーグとパキスタンのアブドゥス・サラムがほぼ同じ時期に独立に完成させたため、「ワインバーグ=サラム理論」と呼ばれています。
 
  この理論で重要な役割を果たすのが、真空のエネルギーでした。そこにエネルギーがあるからこそ、真空は(水が氷になるような)相転移を起こします。ワイン バーグとサラムは、その真空の相転移によって、もともと同じ力だったものが電磁気力と弱い力に分かれたと考えました。真空が高いエネルギー状態にあるとき は一致する(同じ方程式で扱える)力が、相転移によって低いエネルギー状態になると別々の働き方をするのです。

 ワインバーグ=サラムの 統一理論は、電磁気力と弱い力がエネルギーの高い状態で一致し、エネルギーが低い状態では別々の力になることを示しています。それならば、宇宙初期の高エ ネルギー状態では実際に二つの力が一致しており、真空の相転移によってエネルギーが下がったときに二つに分かれたのではないのか。

 も し、そうだとすれば、「電弱力」を電磁気力と弱い力に分けた相転移の前にも、もっと高いエネルギー状態のときに相転移が起きた可能性があるはずです。それ までは「強い力」と「電弱力」が一致していたのが、相転移によって二つに分かれた。さらにその前は、今の自然界にある「四つの力」がすべて一致していたの が、相転移によって「重力」とそれ以外の力に分かれたと考えることができるのです。

 佐藤勝彦博士は次のようにいっています。
『私 が初期宇宙の指数関数的膨張(インフレーション)という理論にたどり着けたのは、このワインバーグ=サラム理論を素粒子物理学の専門家から教わったことが きっかけでした。教えてくれたのは、後にノーベル物理学賞を受賞した益川敏英博士です。その理論を勉強した私は、「真空の相転移」というアイデアを宇宙論 に活かそうとしました。ワインバーグとサラムは「高いエネルギー状態では二つの力が一致する」ことを理論的に示しましたが、私はそれが宇宙初期に現実に起 きた(真空の相転移によって二つの力が分かれた)と考えた。その前提でアインシュタイン方程式を計算すると、真空のエネルギーが空間を急速に押し広げると いう結論が出たのです。』

 宇宙が始まってから、徐々にエネルギーが低下するにしたがって真空が相転移を起こし、まずは重力、次に強い力が枝分かれし、最後の相転移で弱い力と電磁気力が分かれたというシナリオです。

 では、三段階に分かれて起きた真空の相転移のうち、どこでインフレーションが起きたのでしょうか。

  それを考える上で重要なのは、「バリオン数」という概念です。バリオンとは、陽子や中性子のような物質を構成する粒子のことだと思ってもらえばいいでしょ う。かつて陽子や中性子は、それ以上は分割できない素粒子だと考えられていました。そこでギリシヤ語で「重い」を意味する「barys」からつけられたの が、バリオンという名前です。しかしその後、バリオンは素粒子ではなく、三つのクォークからなる粒子だとわかりました。

 宇宙でバリオン が作られたのは、加速器ではまだ到達できていない高いエネルギー状態のときだと考えられます。つまり、強い力が枝分かれした頃にバリオンが生まれた。もし そうだとすれば、インフレーションはバリオン生成の前でなければいけませんから、強い力が分かれた二番目の相転移のときに起きたはずです。

 ところで、二〇一二年にCERNの加速器でヒッグス粒子が検出されたことは、インフレーション理論にとっても朗報でした。ヒッグス粒子は、真空の相転移と深く関わるものだからです。

  そもそもワインバーグ=サラム理論は、「ヒッグス機構」に関する理論を前提にしたものでした(ヒッグス粒子はヒッグス機構から生まれると予言されたもの で、この粒子が存在したことでヒッグス機構の正しさが裏づけられました)。さらに、ヒッグス機構は二〇〇八年にノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎博士 の「自発的対称性の破れ」を下敷きにしています。

 そして、ワインバーグ=サラム理論のいう真空の相転移とは、「ヒッグス場の自発的対称性の破れ」のことにほかなりません。要するに、ヒッグス粒子の発見は「真空の相転移」という概念を裏づけるものだったということです。

 南部博士の「自発的対称性の破れ」は、物理学における真空の概念を大きく変えるものでした。「対称性の破れ」とは、どちらを向いても同じだったものが「方向性」を持つということです。南部理論は、真空でも対称性が破れることを明らかにしました。

 もし真空が「何もないからっぽの状態」であれば、そんなことは起こり得ません。何もないのですから、方向性など決めようがないでしょう。しかし実際には真空もエネルギーを持つ物理的な実体であり、そのエネルギー状態が変わることで対称性が破れます。

  水の温度が下がると氷になるのと同じように、エネルギーが低くなれば真空が相転移を起こすのです。液体の水は分子がバラバラに散らばっているので「対称 性」がありますが、氷になると分子の向きが揃って「方向性」が生じます。つまり、相転移によって対称性が自発的に破れてしまう。それと同様、真空もエネル ギーが下がって相転移を起こすことで、対称性が破れるのです。

 その真空の相転移を起こすために必要なのが、ヒッグス機構でした。南部理 論を素粒子論に応用するには、あるエネルギーを持つ「場」があると考えなければならなかったのです。それがピーター・ヒッグスによって導入された「ヒッグ ス場」と呼ばれるものです。「場」は、電磁波を伝える「電磁場」のようなものだと思えばいいでしょう。

 では、ヒッグス場が電磁場のよう なものだとしたら、発見されたヒッグス粒子は何に相当するのか。あるいは、電磁場における電磁波は、ヒッグス場における何に相当するのでしょうか。実は、 ミクロの世界を扱う量子力学では、あらゆる「波」が「粒」の性質を併せ持ち、あらゆる「粒」が「波」の性質を併せ持つと考えます。

 そも そも「量子」とは、「とびとびの値」を意味する概念です。もし光に波の性質しかないのであれば、その強さは連続的に変化するでしょう。ところがミクロのレ ベルで測定すると、その変化が「とびとびの値」を取っている。ある係数と光の振動数を整数倍した数字にしかならないのです。これは、光に「粒」の性質があ るからにほかなりません。その光の粒のことを「光子」といい、いわばこれが電磁波の「最小単位」なのです。

 電磁場に電磁波があるのと同 じように、ヒッグス場にも「波」があります。しかしその「波」は「粒」の性質も持っている。つまりヒッグス場における「波」の最小単位が、ヒッグス粒子な のです。だから、ヒッグス粒子が発見されれば、真空の相転移を起こすヒッグス場が存在することの間接証拠になる。

 今回CERNの加速器で検出されたヒッグス粒子は、宇宙初期でいえば「三番目の相転移」を起こしたヒッグス場で発生するものでした。現在の加速器で作ることのできるエネルギー状態は、そこが最大です。

  しかし、ヒッグス場はそのエネルギー状態にだけあるわけではありません。より高いエネルギー状態では、別の値を持つヒッグス場やヒッグス粒子が存在し、真 空の相転移を起こすはずです。強い力が枝分かれした二番目の相転移も、今回発見されたものとは異なるレベルのヒッグス場によって起きました。佐藤とグース が考えたインフレーションは、この相転移によるものでした。

 そして、真空の相転移を起こすヒッグスのメカニズムが本当に存在することは今回の発見で明らかになりました。その意味で、これはインフレーション理論の正しさを強く支持しています。

  ヒッグス粒子は、たしかに電子やクォーク(陽子や中性子などを構成する素粒子)などに質量を与えます。ただし、物体の質量がすべてヒッグス粒子に由来する わけではありません。たしかに素粒子の質量はヒッグス粒子が与えていますが、それは陽子や中性子の質量のわずか1%にすぎないのです。

  素粒子は「物質の根源」なので、物質の質量はそれを構成する素粒子の質量の和になると思うでしょう。しかし、実はそうではありません。陽子や中性子の質量 の九九%は、強い力のエネルギーによるものです(陽子や中性子を束ねる力のエネルギーが、E=mc^2で質量となっている)。

 だからと いって「質量の起源」としてのヒッグス粒子が取るに足らない存在だというわけではありません。素粒子物理学の研究をさらに深める上で、その発見はきわめて 重要な意味を持っています。しかし「質量の起源」という面ばかり強調したのでは、この発見の意義が十分に理解されません。宇宙論や宇宙物理学の分野から見 れば、この発見は「真空の相転移」という概念を裏づけたことに大きな意義があるのです。
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その木に成って55さんちから転載しました。

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2014年03月29日 | 宇宙 | トラックバック(0)件 |
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