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★ローレンツ対称性と究極理論 その3

相対論の破れを検出する超高感度の手段として、
宇宙を数十億光年の彼方から旅してきた光の偏光を調べる方法がある。拡張標準モデルによれば、相対論の破れが引き起こす相互作用が原因で、光が真空中を伝わる間に偏光が変化する。この変化は光が伝わる距離が長くなるにつれて大きくなる。

  拡張標準モデルでは光に関する相対論の破れがさまざまに予想されるのだが、これらの中にはCPT対称性を破るものと保存するものの両方が考えられる。この うちCPT対称性を破るような効果は、理論上の理由から、存在しないか無視できるほど小さいと予想され、実際に宇宙観測のデータに基づいて10^- 42GeV以下であることがわかっている(核子の質量〈約1GeV〉を単位と表す)。
 
 一方、光に関する相対論の破れのうちCPT対称性を保存するような効果については、その半分ほどは、宇宙を伝わる光の偏光を測定することによって観測可能と思われる。
光が進むにつれて偏光にどれだけの変化が生じるかは、光の色によって異なる。A.コツテレツキとインディアナ大学のミューズは、遠方の銀河から届いた赤外線と可視光、紫外線の偏光データを調べた。その結果、これらの破れに関する係数にて、10^-32という値を得た。

  では、偏光に表れない残りの効果はどうだろうか。それらは相対論を検証したかの有名な「マイケルソン・モーリーの実験」の現代版にあたる実験を行うことに よって測定できる。マイケルソン・モーリーの実験は物理学者マイケルソンと化学者モーリーが行った歴史的な実験で、2本の直交する光ビームについて、それ らの相対速度が方向によらず一定であることを確認した。現在、これと同様の実験を最も高精度で行うには空洞共振器を使う。例えば空洞共振器を回転させて、 共振周波数が変化するかどうかを観察する。

 スタンフオード大学のリーパらのグループは超電導空洞を使ってマイクロ波共鳴の特性を調べて いる。また、フンボルト大学のペーターズとデュッセルドルフ大学のシラーらは、サファイア結晶でできた共振器の中を行き来するレーザー光を利用している。 同様の実験は他のグループも行っており、すでに10^-15 から10^-11 の感度を達成している。

 時計を比較する実験でも、非常 に高い精度が達成されている。時計の向きによって進み具合が変わるかどうかを調べるものである。実験ではふつう、磁場の中に置いた原子を“時計”として使 う。原子は磁場の強さに応じて2つのエネルギー準位の間を行ったり来たりするが、この遷移周波数が“時計の刻み”となる。

 時計の向きは 磁場の方向によって決まるが、磁場の方向は実験室ではふつう固定されていて、地球の自転とともに回転することになる。この時計の進み具合を監視するため、 もう1つ時計を用意する。同様の遷移を起こすようにした別種の原子を使うことが多い。相対論が破れていれば、2 種の原子が刻む時間(遷移周波数)にそれぞれ異なる影響が生じ、明確なズレが検出できるだろう。

 このタイプの実験としてこれまでで最も 高精度なものは、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのウォルズワースの研究室が行った実験である。中性子に対する拡張標準モデルの係数の組み合 わせに関して、10^-31という驚くべき精度を達成している。彼らはガラス球の中にヘリウムとネオンの混合ガスを詰め、それぞれのガスでメーザー(レー ザーのマイクロ波版)を発振するという離れ業をやってのけた。そうして2つのメーザーの振動数を比較した。

 原子の時計を比較する実験は 他の研究機関でもさまざまな形で行われており、陽子や中性子、電子について異なるタイプの相対論の破れが10^-27 から10^-23 の精度でチェックされている。原子ではなく、別の粒子を利用している実験もある。電子や陽電子(電子の反粒子)、負に帯電した水素イオンと反陽子を電磁場 に閉じ込めたもの、ミュオニウム(正に帯電したミューオンの周りを電子が回っている“原子”のようなもの)などである。

 さらに、国際宇 宙ステーション(ISS)や人工衛星の上で時計を比較する実験も計画されている。空間のすべての方向について実験できるなど、多くの利点が期待されるから である。地上での時計比較実験は時計の向きを変えるのに地球の自転を利用するのがふつうだが、地球の自転軸が固定されて動かないため、ある種の回転対称性 の破れを検出するには限界がある。これに対し国際宇宙ステーションの軌道面は傾いているうえ歳差運動しているため、空間のあらゆる方向について対称性の破 れを調べられる。

 もう1 つの利点は、国際宇宙ステーションの軌道周期が92 分と短く、地上実験に比べて約16倍の速さでデータを集められることだ(国際宇宙ステーションは常に同じ側面を地球に向けるようにしていることが多く、 92分ごとに地球を一周するとともに、同じ周期で自転している)。

 粒子と反粒子の性質を比較すれば、CPT対称性の破れを直接検出できる可能性がある。この考え方に基づく実験としては、「K中間子」という基本粒子を利用する実験が行われてきた。

 K中間子は弱い相互作用によってゆっくりと反粒子である反K中間子に変わり、また元に戻る。「振動」と呼ばれる現象である。K中間子の振動は非常にデリケートなため、CPT対称性がごくわずかに破れているだけでも大きな影響を受けると考えられる。

  CPT対称性の破れを発見しようと、いくつかの大規模な共同プロジェクトでK中間子の振動を調べる実験が行われてきた。現時点でK中間子のローレンツ対称 性やCPT対称性の破れを最も精度よく調べているのはKTeV実験テバトロン加速器におけるK中間子実験)である。この実験では米国立フェルミ研究所の大 型加速器テバトロンで大量のK中間子を作り出した。この結果、拡張標準モデルの係数のうち2つについて、精度が10^-21にまで絞り込まれた。

画像データ3a
図:CPT対称性_反物質の振る舞いは対称か?
  CPT不変性と呼ぶ時空の対称性が保たれている限リ、反物質は通常の物質とまったく同じように振る舞うはずである。ジュネーブ近郊にある欧州合同原子核研 究機構(CERN)では、反水素原子を使った2つの実験でその検証を試みている。水素原子は原子内の電子がエネルギーの低い準位に移るときに、特定の色 (波長)の光を放出する(上の左図)。CPT不変性が成り立っていれば、反水素原子で同じプロセスが起きたときに出てくる光の色は水素と同じだ(上の右 図。光子の反粒子は光子自身なので、反原子から放出されるのはやはり光子になる)。このため、反水素と水素のスペクトル(下の図)は完全に同じになるはず である。実際のCERNの実験では、紫外線レーザー光の吸収(ここで示した放出とは逆のプロセス)とマイク口波による遷移を利用しているが、いずれも水素 と反水素で同じ結果が得られるはずである。もし異なる結果が生じた場合はCPT対称性が破れていると考えられ、ひいてはローレンツ対称性も破れていること を示す。

 欧州合同原子核研究機構(CERN)では現在、ATHENAとATRAPという2つの実験計画が進んでいる。いずれも反水素を 作り出して、そのスペクトル特性を水素と比較する実験である。CPT対称性が保存されていれば、反水素と水素のスペクトルは完全に一致する(上図参照)。 しかし、もし違いが見つかれば、それこそがCPT対称性の破れであり、ひいてはローレンツ対称性が破れている証拠となる。

 相対論につい ての高精度のチェック法としては、多数の電子のスピンが組み合わさって全体として大きなスピンを持つようになった物質も利用されてきた(電子のスピンは小 さな磁石にたとえられる。逆方向を向いている磁石は互いに打ち消しあうが、同じ方向を向いて並んでいる場合は足し合わされて全体のスピンが大きくなる)。

 実はこのような物質はありふれている。例えば棒磁石の磁場は個々のスピンが足し合わさったものである。だが、ローレンツ対称性の破れを探す際には、強い磁場は邪魔になる。
これを避けるため、ワシントン大学のアデルバーガーとヘッケルらはスピンが偏極しているリングを考案した。全休としての電子スピンはゼロではないのだが、外部に磁場ができない構造になっている(下図参照)。
画像データ4a
図:スピンから探る相対論の破れ
  ワシントン大学(シアトル)では、ねじれ振り子を利用した実験によって、相対論の破れのうちスピンに結合する力を調べている。ねじれ振り子はおもりを付け たワイヤが、ねじれの力で回転振動するもの。おもリ(上の写真)は2種類の異なる素材(右図では赤と青で示す)で作ったリング状の磁石からなる。2種類の 磁石が作り出す磁場の強さは同じだが、それぞれの磁場は違う量の電子スピン(矢印)から作られる。磁場は閉じたループになり、おもりの外にはほとんど出て こない。このため、磁場との相互作用によって発生する誤信号が少なくなる。電子のスピンの量に差があるため、もし相対論の破れをもたらすような十分に強い ベクトル場が存在して、それが電子と相互作用すれば、振り子の振動に乱れが生じるはずである。

 リングはねじれ振り子のおもりになってい て、回転台の上でねじれ振動をする。スピンと相互作用するローレンツ対称性の破れがあると、振り子の向きによって振動に変化が表れるはずである。この装置 は電子に関する相対論の破れを検出するものとしてはこれまでで最も高感度で、10^-29の精度が得られている。

 実は相対論の破れはすでに検出されているのだが、そうとは認識されていないだけなのかもしれない。近年、ニュートリノという幽霊のような基本粒子が振動していることが明らかになり、最も単純な形の標準モデルに修正を迫っている。

  ニュートリノの振動はふつう、ニュートリノが以前には知られていなかった小さな質量を持つことによると考えられている。だが、ニュートリノの奇妙な振動特 性は拡張標準モデルからも予言されるものである。理論家たちは、相対論の破れと拡張標準モデルに基づいてニュートリノの振る舞いを説明するほうが、質量に 基づく従来の説明よりも明快だと提案している。ニュートリノのデータについてさらに分析が進めば、この考え方が裏付けられるかもしれない。

  今まで紹介した数々の実験によって、既存の技術でもプランクスケールに到達する感度が達成できたといえよう。相対論の破れを証明する決定的証拠はまだ現れ ていないが、これまでに研究されてきたのは、考えられる相対論の破れのうちごく少数の事例でしかない。今後数年間で相対論の検証範囲が広がり(より多くの 係数が測定され)、その精度も大きく改善するだろう。

 現在は、究極理論とまでは至ってはおらず、まだ「拡張標準モデル」での「相対論の破れ」研究ではあるが、相対論の破れが発見されれば、私たちの宇宙に対する理解を最も基本的な部分から「くつがえす」きっかけになるだろう。

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その木に成って55さんちから転載しました。

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2014年02月12日 | 物理 | トラックバック(0)件 |
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