欧米型の証明医療を実践されている
『リー湘南クリニック』李漢栄(医学博士)さんのブログ、
『院長ブログ・異端医師の独り言』より、転載させて貰います。科学が好きだと云うリーさんが、淡々と綴るこのブログは第一級の資料で、貴重な存在です。
貼り付け開始。
ロチェスター大学医学部時代2010年02月04日 臨床 vs 研究 アメリカ時代、丸 5年と一ヶ月研究に打ち込んだ。3年目、助教授になった年、シカゴ大学から Bob Mayer (Robert D. Mayer;Robertを Bobと呼ぶ)が赴任し、研究室で一年を過ごした。
彼がしみじみ、「臨床では毎日喜びを味わえるが、研究(research)では年に一回(研究発表のとき)だね」と言った。
僕の 1989年に申請した NIHグラント(国立衛生研究所に向う 5年間の研究計画を提出し、公明正大な審査を受け、その年の国の予算で点数の高い順に予算がつく、マイナス評価は僕のボス・Cockett教授に腫瘍研究の実績がないこと、で次点で落選)が通っていたら、今頃、アメリカ在住の腫瘍学者だったね。
ちなみに、今見たら 36ページにわたる研究計画書(タイプ打ちですよ)、研究費・年 7万4千ドル弱、僕のサラリー・初年度 3万ドル弱を申請していた(それに大学からのサラリー、4万 6千ドルが加わる)。
リー湘南クリニック

2009年12月16日 ★アメリカで初めての学会発表 ロチェスターはオンタリオ湖に面した、のんびりした田舎町。コダック発祥の地で、創始者の寄付で建てられたイーストマン博物館が観光スポットである。
在米 6ヶ月目、初めての学会、会場はイーストマン博物館という? 学会が近づくにつれ研修医達の緊張が高まる、全米から大物教授が集まるからだ。
私も発表を命じられ、原稿をこさえ、同僚・Garyに録音してもらい、それを何十回も聞き練習した。Lと Rをうまく発音できないので Lか Rを含む単語は、極力はずし、他の単語に置き換えた。
本番前の予演会(大学のスタッフや開業医、40人くらいが聴衆)、研修医と私、計 9人が 10分の持ち時間で演説し、質問をうける。
私の演説が終わると、主任教授・Cockettが手を挙げ「なぜ、Ladies and Gentlemenで始まらない。」「?」 Cockettが後ろを振り返り「今の演説を聞き取れた者は手を挙げろ」。
ぼそっとGaryと Bobが手を挙げてくれた。Cockett「研修医に原稿を録音してもらい、練習しろ」…。
イーストマン博物館での学会本番、講演が終わると、驚いたことにカーテンが開きオーケストラが演奏をはじめ、カクテルパティーが始まった。念のためスーツを持参してよかった。
ゲストは全米からの教授 20人くらい。ホストはロチェスター大学のスタッフ 6人と、発表者 9人。Kaufmann に挨拶に行った、UCLAの教授で「カウフマンⅠ型、Ⅱ型法」という手術を次々に考案し、世界で最も著名な泌尿器科医である。
ダンディーで陽気な方で、彼も私を見つけ「How do, KAN-EI」「Hi Dr Kaufmann」と挨拶を交わし、日本でのこととか思い出話をした。Kaufmannは私の英語を理解し、下手なジョークも受け、2人で大笑いをした。
翌日、Garyが「何で Kaufmannを知っているの、みんな腰を抜かしていたぜ。」演説の時、声が震えていなかったけど「インデラル」のんだ?
Kaufmannが日本泌尿器科学会の招きで、奥さんと、その後愛人と来日した時、小柴教授の命令でカバン持ちしをたし、カリフォルニアに遊びに行った時、会ったから。
インデラルは血圧の薬だが「研修医はアガリ止めに内服していることを知った」、以来、大舞台では内服するようにした。 リー湘南クリニック (2006年6月月の記事、校正)
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貼り付け終り。
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