欧米型の証明医療を実践されている
『リー湘南クリニック』李漢栄(医学博士)さんのブログ、
『院長ブログ・異端医師の独り言』より、転載させて貰います。科学が好きだと云うリーさんが、淡々と綴るこのブログは第一級の資料で、貴重な存在です。
貼り付け、開始。
2009年02月24日
★★北里大学病院・チーフレジデント回診 医師 2年目、北里大学病院で、週に1~2回、内田医局長(4か5年目医師)による病棟回診があった。内田は、ひどい褥瘡の患者に対して、創部にケフラール(抗生物質)の原粉を振り掛けるよう命じた。はて、教科書には、かかる状態に対して、局所のデブリートメント(死んだ組織の除去)と生理食塩水による洗浄が細菌数を減らす手段と記載されているが?
手術後の患者には、内田があらかじめ決めた内容で点滴が行われていた。はて、病態と合わない点滴があったので、内田に質問したところ「点滴なんか、やっているうちに身体で憶える」。僕と札幌医大・麻酔科出身の K医師と後輩を交え、輸液の勉強会「スクリブナー・体液と電解質のバランス」をしていたので合点がいかなかった。

抗癌剤を投与中の患者には全員、抗生物質内服とチョコラ(ビタミン剤)が処方されていた。理由を問うたら、「免疫の低下をカバーする」という。開いた口が塞がらなかった。
彼はまた、膀胱腫瘍患者を見つけると、良性・悪性にかかわらず、膀胱全摘をしていた。学位論文で「CTで観た膀胱腫瘍と実際の腫瘍」を比較するため、症例数を増やすために。彼はまた、悪性腫瘍患者全員に「シスプラチン」という新抗癌剤を投与していた。この薬は、史上最強の催吐剤と称され、ひどい嘔吐をもたらす。おそらく、薬屋から一例、数十万円の知見費を貰っていたのだろう。
医師 2年目のある日、内田に「僕の患者に手を出さないで下さい」と進言した。「何でだ」。「患者が悪くなるからです」。以来、彼は僕を無視した≪僕が開業後は、患者さんを紹介していただいたり、年賀状をいただく、個人的には好きな人間です≫。
彼は現在、東海大学医学部・泌尿器科・教授、HIFUという何の役にも立たない「前立腺癌治療器」を普及させようと心血を注いでいる。何の効果もありませんから、大金を巻き上げられないように。
吉田先生は運動部の 4年先輩で、笑顔が素敵だった。運動部時代、夏の合宿に途中で現れ、ニコッとし「じゃ、ダミー担いで走ろうか…」。ダミーとは人間にみたてた 30Kgくらいの砂袋。
1980年頃から硬膜外麻酔という麻酔法が流行りだした。これは脊髄を包む硬膜という硬い膜の周りに麻酔液を注入する方法で、麻酔時間を自在に調整できるという利点がある。麻酔医・野見山は、この麻酔法一辺倒で、血圧が下がるとじゃぶじゃぶ輸液した(本来は、血管収縮剤を投与すべき)。
病棟で看護婦が「患者の様態が変です」と報告に来た。経尿道的前立腺切除術(TURP)を終えた患者が呼吸苦を訴えている。胸を聴診すると「ぶくぶく」と「湿性ラ音」が聞こえ、肺水腫による呼吸困難と容易に診断がついた。すぐに「ワシントン・マニュアル」に記されている処置を施した。肺に環流する静脈血を減らすために、四肢のうち 3つに駆血帯を巻き(この処置をターニケットという)、患者を座位にし、利尿剤を投与、そして必要により強心剤を投与する。
ターニケットを施し患者を座位にすると、患者の呼吸苦が改善された。すると、吉田医局長が現れ、素敵な笑顔を浮かべながら「リー先生何をしている」と、パチンパチンと駆血帯をはずした…。その後の患者さんの経過は記憶にない。
リー湘南クリニック (2006年12月の記事、校正)
貼り付け終り。
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