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★命を託している医療・薬剤の実体が知りたい その128   ☆☆☆キノコ雲の希望の光

 第一級資料の宝庫、リー湘南クリニック院長ブログ『異端医師の独り言』さんより転載貼り付けします。貼り付け開始。

一流論文の全訳 2007年07月22日
☆☆☆キノコ雲の希望の光
NEWSFOCUS The Mushroom Cloud’s Silver Lining  Science 321:1434-1437 2008  例により、[カギカッコ内]は僕の解説です。

 Vienna [ベニス]のアパートで悲しい事件があった。世を捨てた年配の姉妹の数年を経た遺体が発見されたが、誰も気づかなかった;中流クラスの隣人たちは、彼女らは引っ越しただけと思っていた。銀行口座が使われていないので警察に通報し 1992年12月に遺体が発見された。
 犯罪の形跡はなかったので、どちらが先に死んだのかに焦点が移った。両姉妹とも大きなペンションを所有し生命保険に加入していた、そこで生命保険会社は後に死んだ方に巨額の保険料を支払うことになる。

 「巨額の金が問題となった」とベニス大学・物理学者 Walter Kutscheraは言う。死体が発見されてからほどなく、法医学部は、Kutscheraと Eva Maria Wildに問題の解決を打診した。二人は同異性炭素を用い考古学的資料の年代を測定していたので、法医学者は同様の技術が姉妹の死亡年の特定に応用できないかと考えた。

 不可能だった。この技術は、カーボン14(以下、C14)の遅い半減期を利用し年代を測定する。数万年古い資料には有効であるが、数百年の測定誤差がある。

 Wildと Kutscheraには他のアイデアがあった。第二次世界大戦前ころからの大気中核実験は、大量の C14を大気中に放出し、以来減衰している。もし姉妹が死ぬ直前、例えば骨髄の脂肪中の C14を測定し大気中の C14レベルと比べれば、死亡時期を特定できるかもしれない。

 可能だった。姉妹の一人は 1988年、もう一人は 1989年に死亡したことが判明した。「姉妹の一人は、もう一人が死んだ後生きていた」と Wildは言う。捜査は終了し、WildとKutscherは、古代の骨と種の年代測定の仕事に戻った。

 しかし、原爆‐パルス技術は、他にも応用できることが判明した。この十年、新しいもの好きのオーストラリアのあるポスドク [博士課程終了後の研究者]は、この方法で、災害被害者の死亡時期、ビンテージワインの年代推定、そして生物学で最も論争のある疑問―ヒト脳は新しい神経細胞を作るのかといった問題に取り組んだ。

ペットショップから屠殺場まで
 Kirsty Spaldingは 2001年に研究を開始したが、その年の暮れ研究は頓挫した。29才の彼女は、西オーストラリア大学で神経科学の研究を終えたばかりで、アメリカに行く前にヨーロッパで一年間のポスドクを予定していた。

 いくつかのラボ(研究室)で面接を受け、スウェーデン、カロンリンスカ研究所で、著名な幹細胞研究者 Jonas Frisenの話に出くわした。Spaldingは、Frisenのニューロ・ジェネシスとよばれる神経新生という研究に「私がやろうとした研究ではなかった」と言う。「でも、彼はとても品があり研究はとても面白いと思ったわ」。

 数ヵ月後、Spaldingは Frisenのラボでゼブラ・フィッシュの脳でニューロ・ジェネシスのマッピングに挑んでいた。しかし、彼女も同僚達もその動物を扱ったことがなく、研究用に特別に交配されたことには気づかなかった。そこで、Spaldingは、近くのペットショップにバイクを飛ばし、魚を買いに行った。が、実験はうまくいかなかった。

 しかしながら、彼女の指導者は信念を曲げず、彼女に「君はチャレンジを愛し、非常に起業家精神に富む」と告げた。彼は温めていた、全く新しいプロジェクトを彼女に始めさせた。

 Frisenは、Wildと Kutscheraの原爆‐パルス技術が DNAに応用できないかと考えた。細胞が分裂するとき、大気中の C14は新しい染色体に取り込まれ、DNAは大気中 C14をスナップ・ショットのように取り込む、だから細胞の誕生日を推定できる。

 もし、これを利用できたら、神経科学における重要な問い、ヒト脳は生涯を通じ神経細胞を再生するか否かを解明できる。しかし、誰も乗ってこなかった。ポスドクの後のポスドク、その研究は非常にリスキーで困難と思われた。 Freisenがゼブラ・フィシュをかかえた Spaldingを見たとき、決してひるまないお目当ての人物であると直感した。

 Spaldingは同意した。「私は、問題を解くのが好きだったの、そして、その問題がどんなに困難か知る由もなかったわ、」と彼女は笑った。ヨーロッパに一年滞在の予定が、長期滞在に変わった。

 ヒトにおけるニューロ・ジェネシスに取り組むために、ヒトに似た寿命をもつ動物の脳が必要で、彼女は 25年以上の寿命をもつウマに白羽の矢を立てた。それは、屠殺場に足を運ぶことを意味する。「ウマが入って来くるのを眺めて…、頭を切り落とすと私に手渡したわ」と、自分で頭を発掘しなくてはならなかったことを彼女は回想する。「頭を求め、藪道を切り払って進むのはたやすくなかったわ…、頭は決して可愛いくはなかった」。

 手持ちの脳で、Spaldingは微量なアイソトープをいかに測定するか悪戦苦闘した。大気中、すべての炭素一兆個(10の12乗)あたり、C14は一部にすぎない。ほとんどは、窒素と宇宙線の衝突に由来するが、1950年代と 60年代、アメリカ、ソ連、そしてその他の国が行なった 500以上の大気圏内核実験は、大気中 C14の数を 2倍にした。1963年の大気中核実験禁止条約で地下核実験に移ってから、C14レベルは低下し始めた。

 大気中濃度が増加しても細胞にとりこまれる C14原子は、15細胞あたり一個にすぎない。だから、世界で最も強力なアイソトープ検出器をもってしても、それを検出するのに比較的大量の組織(~15g)を必要とする。

 ウマの脳は十分に大きかったが、脂肪細胞、グリア細胞、そして線維芽細胞のカスタードソースから神経細胞をふるい分ける方法を捜さなくてはならなかった。約一年かけ技術を確立した後、彼女は神経細胞の年齢を明確にする準備ができ、そして喧々諤々の論争があるニューロ・ジェネシス業界に参入する。

ザ脳戦争
 神経科学領域で 10年以上荒れ狂う論争の中で、Pasko Rakicは 5つ星将軍である。イェール大学の神経学者で、霊長類の脳はいかに発達したか先駆的研究をし、ヒト大脳皮質(記憶、言語、そして意識をつかさどる領域)は、成長後は新しい神経細胞を作らないという橋頭堡を築いたことで有名である。彼は成人のニューロ・ジェネシスは、例えば、すでに形成された記憶を破壊するので逆効果であるとしばしば指摘した。

 しかし1998年、ある研究グループが反対の証拠を示した。癌末期の患者に bromodeoxyuridine(BrdU)と呼ばれる合成物を投与した、これは新しく合成された DNAに取り込まれるので、新生した細胞のマーカーとなる。BrdUは、腫瘍増殖を正確に評価すると考えられたが、脳の学習と記憶中枢である海馬にも取り込まれた(Science, p.1018 1998)。

 一年後、プリンストン大学の神経科学者 Elizabeth Gouldは、大人のマカク [サル]の大脳皮質、ヒトでは言語と意識の中枢に BrdUが取り込まれる発見から、ニューロ・ジェネシスを支持した。しかし、それから 2年後、Rakicは異なる DNAマーカーをサルに注射し、脳に取り込まれないことを示した。以来、この分野は真っ二つに割れた。

 「ヒトで情報を得るのは、非常に困難である」とドレスデン・再生医療センターのニューロ・ジェネシス専門家・Gerd Kempermannは言う。BrdUは毒性があり健康人に投与できない、そして Rakicは、合成物は分裂中の細胞に取り込まれるので偽陽性を生じるという懸念を表明していた。

 C14は毒性が無く、好むと好まざるに関わらず、われわれは皆取り込んでいる。Kutscheraが指摘するように「すべての人類は標識されている」。ニューロ・ジェネシス業界で拍手が鳴りやまないように、Spaldingは、ウマ脳細胞の年齢を特定するのに原爆‐パルス技術を用いえることを証明した。

 彼女は、初めてのヒトの検体―視覚中枢である後頭葉―を Bruce Buchholzへ送った、彼はローレンス・リバモアー国立研究所でバスケット・コート大の同位元素検出器を運転する。ヒト以外の研究では、後頭葉はニューロ・ジジェネシスの温床だったが、C14データは、この領域のヒト神経細胞はその人の誕生日と一致することを示した。

 このことは、成人では新しい神経細胞は生じないことを意味する。一年後、Spaldingらは、ヒト新皮質でも同様の発見をした。

 「まさに卓越した研究で、究極的に賢明だ、」と Kempermanは言う。「思うに、多くの人は、これが論争の最後の言葉と受け入れるだろう」。

 Gouldは、海馬といった他の脳領域は検討されていないと言及する。そして彼女は、原爆-パルス技術は個々の細胞を標的にしていないので、分裂し、そして修復と学習にかかわる少数の神経細胞集団を検出するには鋭敏ではないかもしれないと言う。Spaldingは、これらの疑問に答える道半ばであった。

CSI* :スウェーデン
  *[ Crime Scene Investigator、アメリカの人気TV番組]
 「完全なカオス」。ストックホルムの前検視官・Henrik Druidは、500人以上のスウェーデン人を含む 20万人以上の死者を出した 2004年インド洋でのツナミで、カロリンスカ研究所・死体置場に積み上がった死体をこう表した。「死体はとても腐乱し、ティーンエイジャーと老人の区別がつかなかった」と言う。

 Spaldingは、屠殺所での発見から手伝いたくて Druidを訪ねた。彼女はウマ脳の分析にあわせ、歯も分析していた、なぜならエナメル質は早期に形成され永久的なので、C14で正確な年齢を推定できるからだ。彼女は、この技術が役立つか Druidに尋ねた。

 「はじめ、半信半疑だった」と彼は回想する。混乱のため、身元特定のための X線フィルムや親戚の DNAは送られていなかった。「身元を判明する手掛かりがない場合、性別と年齢が最も有力な手がかりになる」と彼は言う。考古学者が骨から年齢を推定する場合、10年くらいの誤差がある。だから、Spaldingの助けで 6人の犠牲者の歯を原爆-パルス法で分析した。ヒトでエナメル質が完成するまでの時間(例えば、親知らずは約 12年)を足すと、1.6年以下の誤差で年齢を推定できた。

 Druidは誤差を一年まで改良を加え、スウェーデンで未解決の 2件の殺人事件の捜査に協力している。これは、犯罪捜査に非常に役に立つ」と彼は言う。「1~2年のうちに、この方法で事件が解決されたというニュースを耳にするよ。」 Spaldingもスウェーデンとカナダ警察と仕事を始め、歯を分析する会社を設立するつもりである。そのため、彼女は夜間にビジネス・クラスに通うが、すべてが彼女の脳により創造されたもので、新しいプロジェクトは彼女を全く違う方向に向かわせる。

ザ脂肪攻撃
 2005年、彼女はカロリンスカで脳での発見の発表を終えると、聴衆の一人が彼女に近づいて来た。「博士課程の学生で、C14の研究は、どういうか僕の Daddyが興味を示すと思う、」。その父親は、カロリンスカで傑出した科学者、Peter Arnerでニューロ・ジェネシス社会が直面しているような、大論争と格闘していた。

 この場合、脂肪がテーマだった。「教科書には、脂肪細胞は一旦生まれたら死滅しないと書いてある、」とクイーンズランド大学の John Prinsは説明する。しかし、お腹とヒップの脂肪細胞は絶えず死滅し、補充されると信じる科学者もいる。これは、単に科学的論争ではない:もし、補充されるよりも多くの脂肪細胞を死滅できれば、減量への切符を手に入れられる。

 しかし、誰もこの問いに答えられない。「われわれの脂肪細胞のターンオーバーを測定する方法は、精度が低く、かなり不正確、」と Prinsは言う。最良の研究法は、ボランティアに重水素とよばれるアイソトープを含む水を飲んでもらい、脂肪細胞を観察することだ。だが「重水を飲もうという人は、そう多くない、」と 。

 Spaldingは Armerと研究を始め、2006年にヒト脂肪組織から脂肪細胞を分離する方法を開発した。様々な年齢のヒトから採取された生検組織と脂肪吸引残物を分析し、原爆実験の数年前に生まれたヒトの脂肪細胞に高レベルの C14が検出された、つまり、原爆が高濃度の C14を大気中にまき散らした後に脂肪細胞が新生された、というのが唯一合理的な解釈である。

 原爆実験後に生まれたヒトでは、原爆-パルス曲線に一致し、様々な量の C14を含む脂肪細胞がみられた。まとめると、ヒトは約 8年で身体中半分の脂肪細胞を入れ替えることを示し、彼女はこれを今年の夏、Nature誌*に発表した [*最高峰の科学雑誌(英国):本誌や Scienceに論文を載せるのが科学者達の目標といって過言ではない]

 「画期的な論文である…多くの前線で前進をもたらす、」と Prinsは言う。「スタートレックからこの技術を引き出し、今やすべての科学者が脂肪は動的な器官と考える。」 脂肪のターンオーバーに着目していた製薬会社は皆無だったと彼は言う、「しかし、今や治療応用を考えはじめた」。

原爆を愛して
 年ごとに大気中の C14レベルは、原爆実験前に戻りつつある。C12がぎっしり詰まった二酸化炭素の排出量増加は、C14の終焉を早めてきた。そして、原爆-パルス法は離陸したばかり。

 2006年に Freisenの研究室を去り、カロリンスカの助教授になった Spaldingそして Freisenは、この技術の応用を拡大している。ニューロ・ジェネシスや脂肪ターンオーバーに似た論争、心筋細胞そしてインスリンを分泌する膵β細胞は、はたして再生するのかに参入した。幹細胞が発見された組織で、幹細胞はどれくらいの頻度で分裂し、いかに作られるのかも研究する予定である。

 「臨床的意義は計り知れない、」とへブル大学の細胞生物学者の Yuval Dorは言う。「非常に多くの誰も解けなかった生物学的疑問に回答えを与えうる….。どのような回答が得られるのか、非常に楽しみだ。」

 その重圧のすべてが、Splding と Freisenの肩にのしかかっているわけではない。他のラボもこの方法を用い研究を始めた。Freisenのように NIDDK(国立糖尿病消化器および腎臓病研究所)の糖尿病学者、Daivid Harlan と Shira Perlは、C14を用い β細胞のターンオーバーを測定する。そして、ローレンス・リバモアーの Buchholzは、気象モデル(気象パターンの変化は、サンゴ礁の C14に反映される)から、没収された象牙、そしてビンテージワインの認定まで多くのラボから問い合わせがあると言う。

 しかし、この方法はすべてのラボに適応できるわけではない。「市販の測定キットはない、」と Buchholzは言う。そして、多くのラボは、C14分析をする強力な同位元素検出器へアクセスできない。

 批判者は、原爆-パルス法はまた限界もあると指摘する。Spaldingの研究は、Rakicのニューロ・ジェネシスの主張を支持したが、Rakic自身、損傷した細胞が DNAを修復するとき DNAは新しい C14を取り込む可能性があり、細胞新生が無くても細胞新生を示唆することに特に言及する [偽陽性]。反対に Prinsは、新生細胞は時に死んだ細胞から DNAをリサイクルし、C14分析では細胞は新生されない印象を与えると言う。

 そして、Spaldingは、法医学応用には貯蔵寿命(シェルフ・ライフ)があることを認める:大気中の C14レベルがバックグラウンドまで低下していくと― Buchholzは、2020年ころ原爆実験前の状態になると推定する―死体の死亡時期を特定するのは、ますます困難になる。しかし、彼女は、同位元素検出器がより鋭敏になると楽観的で―彼女は、Wildと Kutscheraとこの問題に取り組んでいる―数年のうちに警察は、この技術で難事件を解決するだろう。研究者たちは核実験の後、何十年も貯蔵された検体に頼れるので、脳、脂肪、そして他の臨床研究は影響を受けないだろう。

 カロリンスカで Spalding、Frisenそして数名の協力者と「全臓器の再生能力をマッピングするための優秀センター」を立ち上げた。次の 10年、できうる限りすべての細胞腫のターンオーバーを計測するつもりである。「この技術は大好きだ、」と Freisenは言う。「とても楽しい毎日だ」。

 来年、Spaldingはサバチカ [大学のスタッフで、ある年数勤務すると有給で 1年間お休みをもらえる制度]でカリフォルニアへ行き、脳と脂肪の研究を続けながら新しい挑戦をするつもりだ。海馬のニューロ・ジェネシス―そしてさらに驚くべき脂肪細胞に関する論文を作成する。

 そうしている間に、ニューメキシコの原爆が生まれた地でロスアラモス国立研究所の引退した科学者・Donald Barrは、Spaldingと他の原爆-パルス研究者たちの研究を思い深げに考える。彼は研究所に 50年以上勤め、原子爆弾の落下物にタブを付け続け、かつての同僚達と雑談するために週に 2~3日研究所に足を運ぶ。核分裂からのキノコ雲は、まさに希望の光と、彼は言う。

"There are questions we can now answer because of that testing that scientists never thought about at that time."
―David Grimm  (2008.11.01)

貼り付け終わり。
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