本日の熊日朝刊(1面)

熊日朝刊(3面)

「ガレキの現場を初めて見て、なんとか助けたいという気持ちになった。」
静岡県島田市のゴミ焼却施設がある地区の佐藤博海自治会長(73)は、被災した岩手県山田町を2月下旬に視察した。
同町などのガレキを受け入れようと準備を進める島田市は、「広域処理が」本格化するかどうかの一里塚として環境省が注目する自治体だ
島田市の市長は、産廃業者の重役です。さすが岩手県としっかりとした「絆」がおありですね。
次は、熊本県のニュース
がれき受け入れに賛否2012年02月28日
東日本大震災の被災地のがれき処理をめぐり、県議会の特別委員会で27日、賛成派と慎重派の立場からそれぞれ意見が述べられた。県廃棄物対策課は「受け 入れるかどうかは基本的には市町村の判断」と答弁。原発事故による放射能汚染の不安などから、県内では現時点で受け入れを表明した自治体などはないとい う。
この日開かれた「環境対策」と「震災及び防災対策」の二つの特別委で発言が相次いだ。佐藤雅司県議(自民)は、全国的に 受け入れが進まない現状を「『絆』の気持ちとは裏腹な動きだ」と批判。「私見だが、(受け入れを)やるならば熊本が先にやったらどうかと思う」と述べた。 小杉直県議(自民)も「がれきを撤去しなければ復興は進まない。県は撤去に協力する方向で考えてほしい」と求めた。
一方、大西一史県議(無所属改革クラブ)は「科学的な知見に基づいて考えるべきで、感情論で簡単に判断していい問題ではない」。松岡徹県議(共産)は「放射能汚染を拡散させないことと、住民合意が原則だ」と主張した。
自民党が旗振り役をしているのがよくわかりますね。おそらく、どこの県議会でも同じ状況でしょう。谷垣総裁自ら、旗を振っているのですから。
では、まずガレキの総量は 2252万トン うち400万トンを県外で処理しなければならないそうです。(がれき全体の割合からすると20%以下。なぜ、残りのこれっぽっちを東北では処理できないと決めつけるのか、私にはよくわかりません)

そして、島田市ではこの400万トンの内 1.5万トンを受け入れる気のようです。さすが、素晴らしい絆の持ち主ですね。

(これは、静岡県全体の割り当て量の25倍にあたるようです)
20%のガレキが処理できないだけで、復興がおぼつかない。そんな話があるものかとは思いますが、
米ボストン・グローブ紙:日本の、地震・津波からの驚異の復興2011.6.16(震災から3ヶ月後)



綺麗にガレキは片付いています。
そして、陸前高田の戸羽太市長は、『陸前高田市内にがれき処理専門のプラントを作れば、自分たちの判断で今の何倍ものスピードで処理ができると考え、そのことを県に相談したら、門前払いのような形で断られました。』と話し、
伊達勝身・岩泉町長『現場からは納得できないことが多々ある。がれき処理もそうだ。あと2年で片付けるという政府の公約が危ぶまれているというが、無理して早く片付けなくてはいけないんだろうか。山にしておいて10年、20年かけて片付けた方が地元に金が落ち、雇用も発生する。
もともと使ってない土地がいっぱいあり、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこにあるのか。』
東北の現場では、このスキーム自体を疑問に思っている首長もたくさんいます。なぜ、400万トンも外部で処理をしないといけないと現地で努力をせずに言い切れるのでしょうか。
そして、ちょっと驚いたのが、阪神大震災のガレキの総量は、約2000万トン。あの兵庫県でさえ、広域処理をせずに全て処理が終わっています。

「絆」と言うのであれば、是非各自治体の予算を使って、処理をして東北に負担をかけないでいただきたいのですが、前も述べたように、このガレキは、トンあたり70,000円のカネと引き替えです。本当に「絆」が目的なのでしょうかね。
この運搬は、現在はトラック輸送・・この甘い話をほおっておいてよいものかと、JR貨物まで手を伸ばしてきています。
JR東日本は三陸から“名誉ある撤退”を
これだけのがれき輸送を、すべてトラックやダンプカーでやれというのか。岩手県の約450万トンは4トン積みトラックで延べ100万台以上も必要だ。これ をすべて、三陸の国道で運べるのか。東北自動車道で運べるのか。しかし、鉄道ならスムーズではないか。JR貨物にとっては宝の山かもしれない。ダジャレを 言っては不謹慎だけど「がれきも山の賑わい」であろう。
(中略)
●JR貨物はやる気満々
JR貨物による震災がれき輸送はすでに始まっている。当初は20ft(フィート)のUM13A形コンテナを使用していた。現在はこれに加えて12ftのUM8A形という新造コンテナも投入されている。
(略)
JR貨物の社長も細野豪志環境相と会談し、がれき輸送に全力を挙げる考えを示したという。鉄道の復権は貨物輸送である。大船渡線、山田線、そこから東北本線に接続する路線はすべて、国の復興予算の元で重量貨物対応の路線として整備すべきだ。
震災ガレキの山は、ビジネスマンにとっては、黄金に見えて仕方ないのでしょう。放射能は触れる者を全て黄金に変えて餓死しそうになってしまったミダス王のようです。

311以降、放射能については、全世界でもっとも緩い国となり、環境省は8000ベクレル/Kgまで、全く健康に問題はないと主張しています。本当でしょうか。
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第61条の2第4項に規定する製錬事業者等における工場等において用いた資材その他の物に含まれる放射性物質の放射能濃度についての確認等に関する規則(平成17年11月22日経済産業省令第112号)
なる法律があります。これも、東海の廃炉が決まって、どうにかやっつけで作った基準です。最後の表を見てください。

CS-134 0.1Bq/g => 100Bq/kg
Cs-137 0.1Bq/g=> 100Bq/kg
となっていました。このような法律が決まっていたにもかかわらず、環境省が、内部被曝の危険性を全く無視して、勝手に80倍に増やしているわけです。(誰が責任者ですか?)
なぜ、環境省の値が、法律違反にならないのか疑問が残りますが、これは原発内の話であり、それ以外の場所だから適応されないという屁理屈だと思われます。
法律違反と言うことは、弁護士会も指摘しています。
放射性汚染物質対処特措法施行に当たっての会長声明
政 府は、本年6月、放射性廃棄物について、焼却が可能なものは焼却して減量した上で、汚泥や焼却灰等に含まれる放射性セシウム濃度が8000ベクレル/kg 以下のものについては、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)における埋立て処理(最終処分)とすることを認めていたが、さらに環境省は、8月31 日、「8000ベクレル/kgを超え、10万ベクレル/kg以下の焼却灰等の処分方法に関する方針」を定め、8000ベクレル/kgを超え、10万ベクレ ル/kg以下の焼却灰等についても、一定の条件の下で一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)において埋立て処理(最終処分)することを認めた。
しかし、上記意見書記載のとおり、福島第一原子力発電所の事故前には、セシウム137が100ベクレル/kg以上であれば放射性廃棄物として低レベル放射性 廃棄物処理施設で長期間、厳重に保管することが求められていた。特に、8000ベクレル/kgを超える焼却灰等については、その移動・保管の際に一般公衆 の被曝線量限度である1mSv/年を超えるおそれがあり、これらを特に厳重な保管をすることなく通常の埋立て処理することは、労務作業者の被曝のみなら ず、周辺住民の被曝をももたらすおそれがあるから、到底許されることではない。
また、放射性廃棄物を減量するために焼却するとしても、現 存する焼却施設は放射性廃棄物を焼却した場合に完全に放射性物質がフィルター等によって捕捉されるかどうか事前に十分に検討も調査もなされていないのであ るから、焼却施設の能力・性能について、適切な試験・検証をし、公開と参加の原則に則って、住民の関与の下に具体的な焼却の方針を定めるべきである。拙速 な処理によって放射能による環境汚染を拡散させることは回避すべきである。
政府は、従前の安全基準に則って、上記方針を直ちに改め、焼却 施設の能力・性能について適切な試験・検証を至急実施するとともに、少なくともセシウム137が100ベクレル/kg以上であれば、放射性廃棄物として、 通常の埋立て処理ではなく、特に厳重な処理を定めるべきである。
大阪ガレキ反対 医師会見(メモ) 記者会見動画⇒ http://www.ustream.tv/recorded/19293496
意見書⇒ http://www.radiationdefense.jp/wp-content/uploads/2011/12/c1a973770ad3a28000054a899b4091a51.pdf
補足資料⇒
http://www.radiationdefense.jp/wp-content/uploads/2011/12/fcba802d13178502a5fbc502ad191163.pdf
この科学的・法律的事実を突きつけると、「絆」を連呼するモノたちは、東北の痛みがわからないのかと感情論で責めてきます。
・広域処理が必要と言っているガレキの総量は全体の20%に過ぎない。
・環境省の安全基準は、311前の80倍以上であり、法律違反
このままおし進めようとしても、住民の不安が消されることは決してありません。環境省は、本当に何が目的なのでしょうか。もしかして、ガレキ処理の価格が 低すぎるとして、住民が反対しているなどと思っていませんよね。・・野田首相は今日のテレビ番組で、ガレキを受け入れた市町村には処分場に対する補助を出 すとぶち上げました。
ガレキに反対される方は、以上2つの話をしっかりと勉強して、市町村、議員と話をしてください。変な「絆」がない方であれば、理解してくれるはずです。向こうが感情論で来るのならば、こちらは科学的・法律的に説明していきましょう。
◆関連ブログ
ガレキ処理に住民の了解は必要ない-日本民主主義人民共和国のショーグン達2012年03月01日
静岡-島田市のガレキ試験受け入れとその背景2012年02月16日