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★命を託している医療・薬剤の実体が知りたい その113   ☆☆☆ βアミロイド動態

 第一級資料の宝庫、リー湘南クリニック院長ブログ『異端医師の独り言』さんより転載貼り付けます。貼り付け開始。

2010年01月12日 一流論文の全訳
☆☆☆ βアミロイド動態は、オレザインと睡眠-覚醒サイクルにより統制されている
≪カッコ≫内は、若干の僕の説明

 アルツハイマー病(AD)は、痴呆症の最たる原因である。脳間質におけるβアミロイド(Aβ)ペプタイド蓄積が ADの病因である。

 Aβはニューロンで産生され、間質液(ISF)に放出される。可溶性単一成分のAβが構造的変化そして oligomers、protofibrils、そしてfibrilsなどに変換されると ADの病因となる。

 これらの変換されたAβの蓄積は、濃度依存性で毒性をもつ(confers)。可溶性 Aβを統制する要因を明らかにすることは、ADの病因を理解する上で重要である。

 シナプス活動が、ニューロンからの Aβ放出を統制する。いかに ISF Aβが生理学的に統制されているのかは、ほとんど理解されていない。
 ISF Aβの代謝を研究するために、野生型≪自然の、遺伝子がいじられていない≫マウスおよびヒト APP≪遺伝子≫導入(Tg2576)マウス(変異型ヒト・アミロイド前駆タンパクを表現する)で in vivo≪丸ごと動物≫ microdaialysisを用い、海馬の Aβ濃度を測定した≪マウス脳内にマイクロチューブを留置し、脳脊髄液を採取した≫。

 まず、3ヶ月の Tg2576マウスで、ISF Aβを測定した(≪マウスの寿命は約 1年≫;Aβ蓄積が始まるより数カ月若い)。

 夜間≪実験室では、暗くした時間帯≫の ISF Aβ濃度は、昼間に比べ有意に高かった。昼間の Aβ濃度は、夜間の約 75%だった。

 ISF Aβ濃度は、覚醒時間と相関した。反対に、ISF Aβ濃度は睡眠時間と負の相関を示した。この負の相関は、non-REM睡眠≪夢を見ていない睡眠時間帯≫でより高かった。

 脳脊髄液でみられた ISA Aβ変動にかかわらず、夜間、昼間に得たマウスの海馬組織ホモジュネート≪組織をすりつぶしたもの≫では、APP≪APP遺伝子がこさえた、ペプタイド≫、APP C-末端、そしてAβ1-40≪Aβのアミノ酸配列、1~40≫とAβ1-42量は変わらなかった。だから、ISFのプールは、総細胞内そして細胞膜-関連 Aβとは独立しているようだ。

 次に、野生型 C57BL6マウス≪実験に供するマウスの一種;真っ黒い(Black)マウスで、癌領域では悪性黒色種の実験で使われる≫で、Aβ変動がみられるのかを検討した。Tg2576と同様の変動がみられた。だから、Aβの昼間の変動は、正常な細胞生理に基づくものである。

 昼間の ISF Aβ濃度変動の機序を調べるため、光刺激そのものが ISF Aβ濃度に変化をもたらすかを検討した。C57BL6マウスを 2日間、薄明かりの状態≪夕方くらいの明るさ≫に置き、ISF Aβ濃度を測定した。昼間の ISF Aβ変化は、正常の睡眠-覚醒状態と同様に観察された。だから、ISF Aβの変動は、睡眠-覚醒サイクルと関係し、暗闇に置くこととは関係しない。

 ヒトでも ISF Aβの日中変動があのるかを検討するため、10人の若い男性ボランティアに脊椎カテーテルを通して、33時間脳脊髄液中の ABβ濃度を測定したところ、Aβの日中変動がみられた。ABβ濃度は、初日上昇し、夕方にピークに達し、夜間に減少し、翌日再び上昇した。

 Aβ濃度は覚醒と関連しているので、睡眠剥奪が Aβ濃度に影響を与えるのかを検討した。12時間ごとの明かりの点滅(昼間-夜間)サイクルでマウスは夜に眠るが、日中時間を 6時間長くし、強制的に覚醒させた。

 睡眠剥奪(SD)中、Aβ濃度は正常の昼間-夜間サイクル時に比べ、有意に上昇した。SD後、マウスはより長く睡眠し、Aβ濃度は速やかに低下した。だから、覚醒状態は、ISF Aβ濃度上昇と関係する。

 Tg276マウスを拘束ストレス下に置くと、コルチコトロピン放出因子(CRF)により、ISF Aβ濃度が上昇する。CRF受容体拮抗物質・αCRF9-41を SD前に microcrodialysisから逆挿入した≪海馬から脳脊髄液を採取する微小管から、注入した≫

 CRF受容体拮抗物質を前に、ISF Aβ濃度は通常の昼-夜サイクル時に比べ、有意に上昇した。この SD-に誘発された ISF Aβ濃度上昇は、CRF拮抗物質の有無に関わらない、だから CRFストレス経路は SDが Aβ濃度を上昇させる機序ではない。

 次に、どのような分子的機序が Aβ濃度の日中変動をもたらすのかを検討した。オレザイン(Orexin)は、覚醒と他の生理機能をつかさどる、そしてナルコレプシーとカタレプシー、睡眠と覚醒異常に関係すると考えられている。

 視床下部ニューロンから分泌されるオレザインは、ISF Aβと類似した日中変動を示す。オレザインは、オレザイン受容体が表現されている海馬に影響を与え、そここそが ISF Aβをモニターしている場所である。オレザインが ISF Aβ濃度に影響を及ぼすか検討した。

 早朝、オレザイン-A(1.5pmol/h)を 6時間脳室内に注入した。それにより、げっ歯類≪ネズミやリスのこと≫に覚醒をもたらす。オレザイン注入中、ISF Aβ濃度は有意に増昇した。

 オレザイン類(-Aと-B)には 2つの受容体がある:OXR1とOXR2。オレザイン受容体を介する内因性オレザイン信号系が Aβ日中変動に関わるかを検討した。オレザイン受容体拮抗物質、アロモレザント(alomorexant)を脳室内に注入した。

 アロモレザントを 24時間脳室内に注入すると、ISF Aβ濃度は低下し、Aβの日中変動が消滅した。アロモレザントを中止すると、すぐに Aβ変動は正常になった。アロモレザントは、覚醒時間を約 10%減少させた。だから、オレザイン受容体を介するオレザイン信号系派は、日中 ISF Aβ濃度変動に必要である。

 睡眠-覚醒サイクルは、ISF Aβ濃度に影響を与えるので、長期間の睡眠剥奪が Aβ集合体(plaque)脳内沈着に影響を与えるのか検討した。

 APPswe/PS1dE9遺伝子系の APP遺伝子導入マウスを、21 日間、1日 20時間睡眠を剥奪した。睡眠を剥奪されたマウスは有意に Aβ沈着が増加した。Tg2576マウスでも有意に沈着が増加した。

 次に、Aβ沈着が増加し始める月齢の APPswe/PS1dEで、オレザイン受容体ブロックが Aβ集合体沈着を阻止しえるかを検討した。アロモレザントを1日一回、8週間投与したところ、有意に Aβ沈着を抑制した。

 ここまで、日中覚醒中の脳内 Aβ濃度変化を示した。オレザイン信号系と睡眠-覚醒サイクル両方の変化が Aβ動態に影響を与える。さらに、長期間の睡眠剥奪は、Aβ沈着を促進し、オレザイン受容体阻害を介する睡眠の助長は、Aβ蓄積を著明に抑制する。

 Aβ濃度に影響を与える一つの因子はシナプス活動である。覚醒期間はシナプス活動を増加し、睡眠中は減弱させる。睡眠中と覚醒時のシナプス活動の差異、特にオレザイン信号系は ISF Aβ濃度動態の基本に違いない。

 刻々と変化する ISF Aβ濃度は、いかに Aβ沈着に関与するのか? 最近の γ-secretase阻害剤の研究によると、ISF Aβ沈着を、最低 20%抑制した。だから、ISF Aβを 20~25%変化させることになる行動的そして薬物的覚醒の操作は、Aβ沈着の変化にもたらしたと考えられる。

 睡眠は、複雑な生理機能でその機能は、ほとんど解明されていない。睡眠障害および脳神経変性疾患は、脳神変性を助長する可能性があり、睡眠時間を適正化すると毒性タンパクの沈着を阻害し、ADの進行を遅らせると考えられる。

Kang J-E et al. Amyloid-β Dynamics Are Regulated by Orexin and the Sleep-Wake Cycle Science Nov 326:1005 2009
リー湘南クリニック 

貼り付け終わり。
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