第一級資料の宝庫、
リー湘南クリニック院長ブログ『異端医師の独り言』さんより転載貼り付けます。
貼り付け開始。
2009年09月01日
☆☆★ 対数シリーズ①~③②☆☆癌細胞の増殖と対数 癌は、複数の遺伝子が変異した 1個の細胞から始まる。癌化すると 2→4→8→16→32個と増えていく
(癌の自然史)。癌細胞が分裂する時間は、腫瘍毎に一定なのです。
癌細胞の数(あるいは、癌病巣の面積や容積とか PSAのような「かつての」腫瘍マーカー)を縦軸に「対数」でとり、横軸に時間をとると、直線にのる。この直線の傾きを、腫瘍倍化時間(tumor doubling time)という。
縦軸を「実数」でとると、癌の大きさが 1cmくらい(早期癌といわれ、一個の癌細胞から 30回ほど分裂した状態、細胞の数で約 1億個)になると、それから劇的に大きくなるようにみえ、あちらこちに転移巣が花開く(=癌病巣が肉眼で見える大きさになる)。
これから 10回ほど分裂すると、癌細胞の総数は 1兆を超え、宿主は死を迎える。この劇的に癌が大きくなる状態をpseudo acceleration(見せかけの加速)という。
かかる解説は「The Basic Science of Oncology(腫瘍学の基本的科学)」、初版(1987年)に記されていたが、もう常識なのでしょう、最新版(第四版、2005年)には記されていない。
英語から隔離されたこの列島で、この常識を知る「癌専門医」はごく少数。最近購読した文芸春秋、アホの立花隆「ぼくは癌…」の記事に、この対数直線は、東大の何とか先生が考案したと紹介していた、呆れた、やはり、どアホだ。
転移のある癌患者を抗がん剤で治療するとして、仮に評価可能病変(CTなどで大きさが分かる塊)が 100ml(細胞数で約 1,000億)として、抗がん剤が癌細胞の 99.9%破壊すると転移巣は 1mlへ、ほぼ見えなくなる
(奏効率)。
しかし、癌細胞数は 100億になったに過ぎない。99.999999%破壊できると治癒につながると考えられている。まして 90%縮小なんか、患者を苦しませる意外になんの意味もない。
一方、命をとらない癌は「転移する能力が無いわけで」、腫瘍倍化時間が非常に長く、絶対に命を取らない。
貼り付け終り。
- 関連記事
-
« ★命を託している医療・薬剤の実体が知りたい その109 ☆進化のビックバン l ホーム l ★命を託している医療・薬剤の実体が知りたい その107 ☆腎機能と対数 »