貼り付け開始、
https://karapaia.com/archives/52325763.html 地球に衝突して恐竜を絶滅させた小惑星のように、人類の活動が生命の樹(進化の系統属)全体の枝葉を切り落としていると、研究者が警鐘を鳴らしている。
メキシコ国立自治大学の生態学者ヘラルド・セバージョス氏とスタンフォード大学の保全生物学者ポール・エーリック氏によれば、人間の活動の結果による生物の絶滅スピードは、自然に起こる絶滅の35倍の速さであるという。
それは個々の属の生物が果たしている生態系を維持するという大切な機能が失われるということでもあり、私たち自身が生きるための基盤すら崩しつつある。
「ホモ・サピエンスにとって、文明の存続と将来の環境の居住性に対する不可逆的な脅威である」と、『
PNAS』(2023年9月18日付)に掲載された研究では述べられている。
地球規模で様々な属の生物が姿を消している
今、地球史上
6度目となる大量絶滅ががすでに始まっていると言われている。
海鳥の大量死、海岸に打ち上げられた
おびただしい数の魚の死骸、
ペンギンの雛の大量餓死、
昆虫の激減など、地球上の生物が姿を消している兆候はそこかしこで観察されている。
このような状況を鑑み、メキシコ国立自治大学の生態学者ヘラルド・セバージョス氏とスタンフォード大学の保全生物学者ポール・エーリック氏は、1500年から現在までにどれだけの生物が絶滅してきたのか調べ、その結果を過去5億年と比べてみた。
まず明らかになったのは、我々人類が過去500年で73属の脊椎動物を絶滅に追いやったということだ。
生物の分類における「属」とは、「種」の一つ上の階級のこと。要するに、兄弟や姉妹のように近い関係にある生物でまとめたグループのことだ。
そして500年で73属というスピードは、歴史的に起きてきた属レベルの絶滅の35倍もの速さである。
つまり人間の活動の影響がなければ、同じくらいの属が絶滅するのに約1万8000年かかったということになる。それがたった500年で起きてしまったのだ。
こうした絶滅スピードは脊椎動物だけの話ではなく、植物・菌類・無脊椎動物でも似たような状況だ。
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生物の消滅は生態系全体に影響を及ぼす
それは生物がそれぞれはたしている大切な機能が急激に失われているということだ。セバージョス氏とエーリック氏は、論文の中で次のように説明する。
「6度目の大量絶滅によって、生命の樹が急激に伐採されており、枝全体(種・属・科などのグループ)が、それが果たす機能ともども失われつつある」
私たちが暮らす生態系は、それぞれがまったく無関係に見えても実はつながっている。生物それぞれが独自の役割をはたすことで、お互いに支え合っているのだ。
だから、そうした役割を果たす生物が1つ消えてしまうと、それに頼って生きていた別の生物にも影響が出る。その結果、悪影響が連鎖的に広がっていく。
「私たちも含め、すべての種は、安定した生命の樹の中で一緒に暮らしながら進化してきた」
それは人間にとっても他人事ではない。なぜなら私たちもまた生態系サービスに頼って生きているからだ。
代表的なのは、昆虫がやってくれる受粉だろう。私たちの食を支える農業にとって、昆虫の受粉という生態系サービスが不可欠だ。昆虫がいなくなれば、農業ができなくなってしまう。
また中央アメリカでは、蚊を食べるカエルが少なくなるにつれて、蚊が媒介するマラリアの感染が増えたという報告もある。
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運命を変えることができるのは人間次第
セバージョス氏とエーリック氏によれば、こうした属の絶滅スピードはさらに加速すると予測されるという。
仮に今のままのペースで絶滅が続き、2100年までに現在絶滅が危惧される属がすべて消えたとする。これは1800年からの300年で失われた属の数に相当するのだが、自然に起こる絶滅スピードなら10万6000年分の絶滅量だ。
困ったことに、弱い生物は多くの場合、とても個性的でありながらも見過ごされがちだ。
知らないうちにそうした生物が姿を消すということは、数百万年にわたる進化の歴史がひっそりと失われるということでもある。
失われたものは、そう簡単には戻ってこない。セバージョス氏とエーリッヒ氏によれば、「絶滅で失われた機能の代わりが進化によって生み出されるには、数百万年」が必要になるだろうという。
絶滅の背景にある大きな要因の1つは温暖化だ。それは生態系を支える働きを変えてしまい、全体を不安定にしてしまう。
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第6の大量絶滅の背景にあるもの
だが第6の大量絶滅の背景にあるのは、気候変動だけではない。プラスチック汚染、殺虫剤、生息地の喪失、密猟にいたるまで、私たち人類はありとあらゆる手段で地球の生物を追い詰めている。
「このような絶滅と社会への悪影響を防ぐには、前例のない規模の政治的・経済的・社会的努力が不可欠」と、セバージョス氏とエーリッヒ氏と述べている。
一つ救いがあるとすれば、恐竜を絶滅させた小惑星とは違って、私たちは自分たちが何をしているのか自覚しており、その気になれば別の行動を起こせることだろう。
地球の生物たちの運命は、次の20年で私たちがどのような行動をとるかにかかっているそうだ。
References:Mutilation of the tree of life via mass extinction of animal genera | PNAS / Mass Extinction: Entire Branches on Tree of Life Are Dying, Scientists Warn / written by hiroching / edited by / parumoあわせて読みたい
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貼り付け終わり、
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