今回は 「財界からカネをもらって、賃金が上がらない日本にしてきた自民党が賃金アップを口にするなど笑止千万!」というテーマで、経団連加盟大企業の悪辣な企みと、自民党のこれまでの労働行政における悪政をえぐっていきたいと思います。非正規雇用の蔓延、格差社会の拡大……と巷間で人々が口にする今日の苦しい状況を作ってきたのは「政治」です。その「政治」を長年預かってきたのが政権与党の自民党です。なぜ、こんな自民党政治が続くのか不思議ですが、野党もロクでもないから自民党にやらせるしかない……ホントに「自虐的」な論理がはびこる二ホンなのです。しかし、まともな政治をつくるためにも、政権を常に入れ替えて、新陳代謝、切磋琢磨で政治家を育てるよりないのではないでしょうか。このままでは、日本の衰退が早まり、グローバルサウスの仲間入りも近いことでしょう。(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)
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※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年9月18日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:神樹兵輔(かみき へいすけ)
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。
賃金の上がらない国にしておいて「賃金アップを働きかける」だと?
大企業から、政権与党の自民党に対して政治献金を流すうえで、その業種別の金額割当から、献金ランク評定といったすべての差配を行ってきたのは「経団連」でした。
そのため、政権与党の自民党は、昔から「経団連」に頭が上がらないどころか、その言いなりになる他ありませんでした。
自民党の政策は、選挙を通じて「国民との対話」で作られてきたものではありません。
選挙は「国民騙し」の方便と儀式にすぎず、まさしく大企業からの「カネの力」で日本の政治の多くは、歪められて成り立ってきたのです。
ゆえに国民生活は一向に楽にならず、格差社会が広がる一方となるのです。
岸田政権の「分配と成長の好循環」だの「新しい資本主義」などは、ウソ八百のお題目にすぎません。意味なしの言葉遊びです。それに踊らされて、ああだこうだと忖度で付き合う日本のマスメディアも救いようがない体たらくです。
「労働規制を緩め、消費税率を上げて法人税率を下げ、大企業向けの特別優遇税制をもっと拡げろ」という財界の声を聞き、「増税メガネ」と揶揄されるように「とにかく消費税を上げろ」という財務省の声を聞き、「アメリカの軍需産業を潤わせろ」というアメリカ政府からの声を聞く――といった3方向からの声だけにしか、岸田首相の「聞く耳」は働きません。
国民が泣こうが、わめこうがへっちゃらです。
「賃金がアップするように政府も産業界にはたらきかけていく」などと、どの口がいえるのでしょうか。
経団連から、賃金下押しへの圧力を受けてきたのが当の自民党なのに――です。
本気ならば、「労働者派遣制度」や「外国人技能実習制度」をまず禁止すべきです。賃金下押し圧力の元凶なのですから。ついでに政治献金も禁止できたら最高です。合法ワイロにすぎないのですから。
それでも、選挙では国民の3割が自民党支持で、無党派層が4割というのですから、筆者などはつねづね、「大丈夫なのかよ、日本国民!」と思います。
まあ、国民の5割しか投票に行かないので、たった3割の支持に支えられているだけでも、それらの投票に行く人々が自民党に票を入れる限り、自民党政治は続きます。
悪の巣窟に成り果てた「経団連」がカネで政治を動かしている
「経団連」とは、一般社団法人「日本経済団体連合会」の略称です。一般社団法人は、2006年の公益法人制度改革により、従来民法で設立されていた社団法人に変わって設けられた新しい法人のことです。
誰でも設立可能で、収益事業や営利事業を行うこともできる団体であり、年間設立件数は株式会社・合同会社に次いで3番目に多い団体でもあります。
つまりは、もともと大層な団体などではないはずなのでした。
しかしながら、それにもかかわらず、一般社団法人の「経団連」は、わが日本国においては、大いなる権力を有してきたのです。
それもそのはず、経団連には、日本を代表する大企業が約1,500社、その他業種別全国団体107団体、地方別経済団体47団体から構成されているからです(2002年に日経連=日本経営者団体連盟を統合した)。
ゆえに、経団連は、他の経済団体とは別格の地位にあります。
中小企業など約125万社で構成される特別民間法人の「日本商工会議所」や、企業経営者が個人の資格で参加する公益社団法人の「経済同友会(会員数約1500名)」といった他の経済団体も含めて、「経団連」は「経済3団体」のひとつと称されていますが、当の「経団連」は特別の存在なのです。
なにしろ、経団連の陣容は日本の大企業が中心となって構成されているがゆえに、総合的な売上高や利益額の総額といった経済力で見ても、他の2団体を寄せ付けないほどに圧倒的パワーを誇っているのです。
ゆえに経団連はかつて「財界総本山」とも呼ばれました。
経団連の会長以下役員のすべては大企業のトップが占めています。そしてその代表である経団連会長は、かつては「財界総理」とまで呼ばれていたこともあるほどです。
何といっても、力の源泉は、加盟企業へ斡旋する「政治献金」の額です(1994年以降、自民党が下野したため、一時加盟企業への「政治献金」の斡旋を中止していましたが、権力を握るためにも2014年に復活させています)。
企業からの政治献金は、ほとんどが自民党にしか行きませんが、毎年20数億円が自民党の寄付受入の政治団体(国民政治協会)へ流れています。
たったの20数億円ですが、大企業中心の特別な優遇政策や海外ODA事業の見返り収益などもあって、そのリターンは数兆円に及ぶのですから、千倍から万倍になって戻ってきます。「エビでタイを釣る」の比喩どころではないのです。
これで、自民党はスポンサーである経団連の言いなりになるしかないわけで、「国民の声に耳を傾ける」――などと言うのは、ただのオタメゴカシにすぎません。
国民の税金を、大企業にバックしてあげる方策に血道を上げるゆえんなのです。
Next: 国民の利益にならないことだらけ……経団連の驚くべき「提言(命令)」
経団連の驚くべき「提言」
経団連はこの9月11日に、2024年度税制改正に関する提言(命令)を発表しています。
なんと、さらに法人税を減税し、人やモノへの投資を促進し、持続的な経済成長を実現すべき――などとほざいたのです。
そして、少子化対策を含めた社会保障制度の維持のための財源として、将来の消費税率の引き上げが「有力な選択肢のひとつ」などと主張しています。
消費税は目的税ではないため、社会保障制度などとは関係ないはずなのに、自民党とともに毎度このセリフをとってつけています。
さらに図々しいことに、従業員の賃金を引き上げた企業の法人税を軽くする特例の拡充を要望しました。
赤字で税優遇を受けられない企業にも配慮した制度の新設を提言(命令)したのです。
脱炭素や経済安全保障の推進に向けて、半導体や蓄電池などの国内生産量に応じて法人税を優遇する制度の創設も提言(命令)に盛り込んできています。
俗にいう「おまゆう」提言でしょう。
お前が言うか――と突っ込みたくなるのですが、もともと経団連は、「消費税率アップ」をずっと前から言い続けてきています。
2012年5月の経団連の提言(命令)では、財政再建などの改革を推進するべく「消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%へ引き上げ、その後、2017~2025年度の間、税率を毎年1%ずつ引き上げ、最終的に19%とすべし」という主張(命令)を行っています。
「2025年度・消費税率19%」が、経団連の求める“改革”という中身なのですから、驚かされます。
「アホかいな?」「バカじゃないのか?」と思いますが、もちろん経団連は本気でこうした主張(命令)をしてきたのです。
ちなみに、消費税率アップとともに、法人の実効税率を、2016から2025年度にかけて毎年1%ずつ引き下げていき、最終的には25%にするべし――という提言も同時に行っていました。
図々しいこと、この上ない提言(命令)というより、20数億円のエサを毎年食わせている自民党への文字通りの「政策指令」なのでした。
旧安倍政権は「政権維持」のために大企業に尽くしまくった
こうした経団連の命令に従って、法人税率は1970年代後半から80年代後半に基本税率が43・3%のピークを迎えていたのですが、自民党政権下では今度は段階的に引き下げ、2012年末の安倍政権成立前までには30%までに下げてきました。
そして安倍政権以降には、さらに次々と引き下げて、現在の23・2%まで引き下げてきたのです。
故・安倍首相は、財界にオベッカしまくりでした。
安倍首相のそれ以外の政策といえば、戦前の日本を取り戻すべくような「皇国史観」に基づいた勇ましさで、米国とタッグを組んで戦争ができる国づくりに邁進し、また、お友達との信義にはとても忠実でした。
はてさて、話を戻して法人税ですが、地方法人税や法人事業税を加味した法人実効税率は法人税率の23.2%ではなく、現在30・62%です。
しかし、資本金10億円以上の大企業は各種の特別減税優遇措置によって平均法人税負担額は18~20%程度になります。
多くの中小企業の実効税率よりも、大企業の実質税負担は、ははるかに低くなっているのです。
これが自民党が大企業を優遇してきた最たる証左なのです。
もちろん、過去のこうした消費税率アップと引き換えに法人税率や所得税率を下げてきたのですから、財政改革どころか、税収は60兆円そこそこ程度の横ばいでした。
庶民の生活が苦しくなる中で、大企業や金持ち個人の懐を潤してきたのが実情だったのです。
1989年に3%で導入した消費税というのは、まさしく大企業や金持ちの税率を下げるためだったことがよくわかるでしょう。
ところで、人口減少下で需要が減っていく中、国民の消費に罰金を課すような消費税率をアップしてきたのですから、そのたびに国内景気は落ち込んできました。
これでは、大企業も国内消費が落ちて、さすがに自分の首を絞めることになるではないか――と言えば、そうでもないのです。
Next: 消費税が上がると大企業が儲かる驚きの仕組み
下請けに支払ってもいない消費税の「輸出還付金」があるので大企業は、消費税率をアップするほど儲かる
「輸出還付金」というオイシイ税金を吸える仕組みが、「消費税制」にはあるからです。
大企業は、下請け企業に部品などの納品単価を叩いて叩きまくって納品させてきたことでも有名です。
今まで100万円で大企業に納品していた製品を、消費税率が上がったからと言って、下請けの中小企業は、その分を簡単に上乗せして大企業に納品することがはたしてできるでしょうか。
もちろん、できません。
大企業は、取引停止を匂わせるでしょう。今まで以上に合理化に注力し、今まで通りの100万円で納品しろ――と言うはずなのです。
すると、消費税率10%なら、消費税額9.1万円、製品価格90.9万円という納品伝票を切らされるでしょう。
下請けの中小企業は、手取りが減ったうえに、消費税を納める矛盾に直面します。
そして大企業は、この伝票を元に、輸出還付金の申請を税務署に行えば、100万円分の輸出に対して、9.1万円分の仕入れ消費税相当額の還付金が貰えるのです。輸出した製品は海外では消費税がかからないから――という理屈だからなのです。
ゆえに、輸出大企業が本社として所在する各地の税務署は、毎年軒並み数十億円から、数百億円の赤字になっています。
日本を代表する輸出大企業トヨタの本拠地愛知県の豊田税務署に到っては、2020年度に4,044億円の赤字でした。この額はトヨタの輸出が増えることでさらに上振れしています。
ちなみに、2022年3月期の日本における輸出還付金の合計額は、およそ6兆6,000億円でした(国・地方消費税合計)。これは、政府が発表した22年度消費税収予算26兆円(同)の25%相当額になるのです。
ということは、消費税収の4分の1が主に輸出大企業に還付されてしまい、国庫には入らなかったことになります。実際、歳入額では消費税収入は約21兆円となっているのです。
経団連に名を連ねる大企業は、その多くが輸出で儲けを出しています。ドル建ての海外製品価格が、円安のおかげの為替換算で大企業の懐は、史上空前の利益額となっています。
にもかかわらず、大企業は、国内で払ってもいないであろう消費税額分を還付してもらえるのですから、「経団連」は消費税率アップに大賛成どころか、「もっともっと税率を上げろ」と政権与党の自民党の尻を叩くわけです。
Next: 政策で「給料が上がらない」ように自民党に命じたのも経団連
「人材派遣」「外国人技能実習生」の導入で人件費ダウンを図り続けるよう自民党に命じたのも経団連
「人材派遣」などと称し、労働者の賃金を3~4割も抜いて儲ける、本来労基法で禁じられていたはずの「中間搾取」の労働者派遣事業も経団連の自民党への圧力で実現したものです。
「使い捨て労働者」を求める産業界からの強い要請で、自民党政権は、1986年に「労働者派遣法」を制定しました。
これが、当時から「業務請負」と称して偽装派遣を行っていた違法営業の法人を救済することとなりました。
当時、違法営業を行っていた現在の大手派遣会社に連なる企業などは、建前上は派遣でなく「業務請負」と称し、本来は派遣先の指揮命令下においてはならないのに、実際は野放しでこうした「偽装派遣」をひろく行っていたわけでした。
しかし、労働者派遣の法律ができたことで、これで堂々と大っぴらにピンハネ業務が合法的に認められたのです。
つまり、この労働者派遣の合法化が戦前の「タコ部屋奴隷労働」をもたらしてきた「中間搾取」を解禁させた天下の悪法の始まりだったのです。
当初、表向きは、13業務に限った専門性の高い仕事にのみ派遣労働を認めるという建前でスタートしましたが、その後の改悪で何でもありの「派遣労働者市場」を作ってしまいました。
結局1999年には、派遣適用対象業務も原則自由化され、2004年には製造業への派遣まで認められるようになります。つまり、事実上すべての業種で派遣が解禁されたのでした。
もっとも、リーマン・ショックまで右肩上がりで売上アップを続けたこの業界も、2008年のリーマンショック前には7兆8,000億円のピークをつけてのち減少傾向をたどり、現在では、ほぼ6兆円前後での規模の推移となっていきます。
当初は専門性の高い業務のみの建前の派遣労働から、実際は抜け道だらけの法改悪で、今や雑用業務までとやりたい放題になってきたのです。
日本人の賃金ダウンをもたらしてきた元凶が「労働者派遣制度」
ゆえに日本人の給与が30年近くも上がらなくなってきました。派遣労働者を雇用の調整弁にできて便利だったからです。
不況になれば、直ちに首を切れる派遣労働者は、企業にとっては、カンタンに首切りできない正社員を食わせていくためにも、組織の中に階層的な労働者差別があったほうが重宝できるからです。
派遣先の企業にすれば、「交通費ナシ」「賞与ナシ」「退職金ナシ」「福利厚生ナシ」「社会保険ナシ(今は制度導入した)」の人件費のかからない派遣労働者ですから、これは戦前のタコ部屋奴隷労働に先祖返りさせた制度といえるのです。
そもそも、この労働者派遣の業界は、スタート時点から違法のオンパレードでした。
「禁止業種への派遣」
「無許可・無届け営業」
「偽装請負」
「二重派遣」
「女子の容姿のランク付け開示」
「派遣先への履歴書開示」
「派遣先企業への事前面接(会社訪問の名目で実施)」
「マージン率の非開示」
こんな悪徳業態の企業が堂々と上場までしているのですから、笑止千万なのです。
アルバイトやパート、契約社員など、有期雇用の非正規雇用労働者は、今や労働者の4割近く(20年2,090万人)にのぼり、そのうち派遣労働者は、6.6%(同138万人)を占めます。
この労働者派遣事業だけでも、売上6兆円規模です。そこから3割~4割もの「中間搾取」ですから、1,800億円から2,400億円もの粗利益を労働者派遣業者は得ています。
しかも、ピンハネ業者の分際で、6兆円の売上高に対して営業利益率は5.9%も得ているのです(厚労省調べ)。こんな労働者派遣は禁止すれば、この分だけでも、労働者の収入アップがもたらされるでしょう。
派遣労働を認めるならば、正社員より4割から5割の賃金アップを行うべきです。いつ首切りに遭うかもわからないのですから。その分の保証は絶対必要です。
こんな中間搾取を許す労働者派遣業はただちに禁止すべきなのですが、政治献金のエサをくれる経団連の自民党への命令ですから、禁止できません。
老後に年金が少なく、貧困老後になる人々をわざわざ作り出す愚の骨頂の政策にもかかわらず、旧統一教会の反日に協力してきた自民党は、とことん罪の意識すらもなく、これでも政治を司ってきたつもりなのでしょう。
何といっても、賃金をピンハネして儲ける企業の存在は絶対に許すべきではないのです。
不況になって派遣業者のダンピング競争の犠牲になるのは、いつも派遣労働者です。しかも弊害はそれだけではなく、正社員(正規雇用)の職さえも減らし、正社員たちの賃金押し下げ圧力さえもたらすからなのです。
Next: 「外国人技能実習制度」導入も経団連の提言(命令)で始まった…
“奴隷労働”を強いる「外国人技能実習制度」導入も経団連の提言(命令)で始まった
外国人技能実習制度とは、バブルが崩壊し金融危機へと向かう途上の1993年に法制化され、その後幾多の改定を重ねてきた開発途上国の外国人を対象とした制度です。2023年で発足以来、すでに31年にもおよぶ制度なのです。
この制度ゆえに、日本で働く外国人技能実習生は年々増え続け、2011年には13万人だったものが、2020年末にはコロナ禍にも関わらず40万9,000人と3倍にまで増え、過去最高になっています。
当初は中国人が圧倒的に多かったものの、中国での賃金上昇もあって、2016年からはベトナム人の数が中国人を抜き、今ではベトナム人が10万人ほどでトップです。
この制度の目的には「開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力を推進すること」とあり、「労働力の需給の調整手段として行われてはならない」などと規定されています。
しかし、こんなことは、まったくタテマエのオタメゴカシです。
中小・零細事業者の人手不足対策が、この制度発足時の経団連と政府・自民党の本音そのものだったからです。
技能実習制度に応募する外国人の本音も、当然ながら「出稼ぎ収入」の獲得が目的というのが主流です。
政府は、人手不足解消のための「移民制度」導入では国民の抵抗や反対が強いので、最長5年で帰国させられる(概ね2年から3年で帰国)、こんな酷い制度をつくったわけです。
外国人技能実習制度の内容は、出身国では修得が困難な技能の習熟や熟達を図るもの――とされているものの、多くは単純労働で、日本人労働者が嫌がる3K労働(キツイ・キタナイ・キケン)にすぎません。
技能実習生の賃金は、全国都道府県の最低賃金以上(2023年10月からの時給最高は東京1,113円、最低は岩手893円、全国平均は1,004円)とされていますが、こうした水準を守らない事業者も少なくないのです。
また、原則として3年間「転職」が禁止されているため(倒産の場合は認められる)、低賃金で自分に向かない作業や、どんなに時間外労働が多い職場でも、その業務に束縛されます。
こんな理不尽な制約は、「職業選択の自由」を奪う明らかな憲法違反なのです。
外国人技能実習生が働ける業種にも制約があります。農業、漁業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械、金属、その他と大きく分けて7業種82職種です。いずれも日本人労働者が就業してくれず、人手不足の仕事ばかりです。日本人が「やりたがらない仕事」を外国人に押し付ける形なのです。
そのうえ、劣悪な労働環境で、寮などの住環境もお粗末なのに、家賃や家電製品のレンタル代などとして高額の料金を賃金から差し引き、結果的にものすごい搾取が横行しているのが実情です。
そのため、技能実習生の賃金は、手取り10万円もあれば「オンの字」という状態に陥っています。ここから母国に仕送りをしたり、母国での借金の返済に充てるというのですから、日本ではずーっと苦しく厳しい生活を強いられます。
Next: 失踪者も続出…なぜ外国人技能実習制度を改めないのか
雇い主や日本人同僚からのパワハラ、セクハラ、暴力も日常茶飯事
さらに、雇い主や日本人同僚からの罵倒やパワハラ、日常的な暴力も頻発しており、中には雇い主からの性暴力まであるのです。
妊娠が発覚すると帰国させられるので、こっそり産んだ赤ちゃんを殺して土中に埋め、逮捕された女性実習生もいました。
こうした劣悪な労働条件ですから、失踪する実習生の数も半端ではありません。
失踪すると、在留資格がなくなるため、即「不法残留者」となります。2020年末時点で、約49万人の外国人技能実習生のうち、1万2,000名が行方不明です。
毎年、技能実習生の1.2%から2.1%前後が失踪者になっています。劣悪労働環境で、転職の自由もなければ、こうなるのも必然でしょう。不法残留者が増えるにつれ、犯罪に走る人たちの増加も懸念されるところです。
もともと経団連も自民党も、安く使える労働者を国内に増やし、その分、利潤を増やしたい――という本音が先走ってきました。
こんな賃金が30年も上がらない、格差社会を作ってきたのは誰なのでしょうか。今さら、産業界に「賃金アップ」をはたらきかける――といわれても、シラケるばかりなのです。
そういえば、官製賃上げは故・安倍首相の時から、国民へのご機嫌取りのように打ち上げていたものです。ならば、まずは「労働者派遣」の中間搾取を禁止すべきでしょうし、世界の恥とまで指弾される「外国人技能実習」の奴隷労働も禁止すべきです。
口先だけで、「賃金アップ」を目指しているといわれても、国民の誰も信じられないのです。
もはや、自民党のいい加減な政策には、NOを突き付けるべき時でしょう。世襲・反日・忠米・亡国の自民党には、しばし心を入れ替えるまで、退陣してもらうのが望ましい日本の道でしょう。
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