貼り付け開始、
GigaZine
GPSに依存せず世界中で船舶の正確な位置がわかる
「 量子航法システム 」の最初の試験にイギリス海軍が成功、
衛星の妨害や誤動作に強くGPSが使えない潜水艦でも利用可能に -----------------------------------------------------------------
https://gigazine.net/news/20230608-quantum-navigation-test/ 2023年06月08日 20時00分
イギリス海軍が、ソナーや衛星通信、GPSなどの外部ソースに依存することなく
世界中で船舶の正確な動きや位置を特定できる
「 量子航法システム 」の最初の実験に成功したことを発表しました。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの物理学者によって開発された量子航法装置は、
ルビジウム87の約10億個の原子に対してレーザー光を照射します。
すると原子から雲が発生し、さらに絶対零度に近い温度まで冷却すると、
原子の雲は波打つようになります。
その性質を利用し、重力などの影響を考慮しつつ測定を行うことで、
装置が動いている速度や方向を計算することが可能になり、
位置情報を詳細に割り出すことができるとされています。
また時間の経過に伴う原子の雲や装置の進行方向を量子加速度計で測定することで、
船舶の位置情報を常にチェックすることが可能です。
量子航法システムのコア部分?
https://i.gzn.jp/img/2023/06/08/quantum-navigation-test-success/00_m.jpg ※ ルビジウム87
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融点:39.3℃
半減期488億年の放射性物質。
β崩壊でストロンチウム87に。
原子時計に用いられている。
また、カリウムと似た性質のため、植物に吸収されるので、年代測定の指標に。
高温でルビジウムをイオン化し磁場を通過させると電気を伝導し、
発電機の電機子のように働くことで電流が発生する。
気化されたRb87は、最も一般的に使用される原子種の一つ。
安価な半導体レーザーで十分な蒸気圧を得ることのできる。
ルビジウムの蒸気は、レーザーによる光ポンピングによってスピンが偏極する。
電子的な送信機、情報網および試験装置における周波数の精度を保つための
「 二次周波数標準器 」の主要部品である( ルビジウム発振機 )。
このルビジウム標準器はGPSにおいて、
より正確でセシウム標準器よりも安価な
「 一次周波数標準器 」を製造するためにしばしば用いられる。
※ それにしても、重力や磁場の影響を回避させながら、
距離・方向を特定できるなんて、その技術は驚異的だ!
量子航法システムを搭載した船舶は、
海図やコンパスよりも正確な航行が可能というだけでなく、
現代の船舶で主流になっているGPSを用いた
人工衛星ベースの航法装置が不要になります。
イギリス海軍のトム・ライアン大佐は
「 人工衛星は時に妨害や干渉を受ける可能性があります。
また、人工衛星が誤動作を起こす場合も想定されます 」と述べ、
「 量子航法システムという、自分たちの船舶の位置を
極めて正確に把握する斬新な手法を搭載することは、
海軍の円滑な軍事作戦上非常に重要です 」
と報告しています。
人工衛星ベースの航法装置が不要になることで、
水中ではGPSを用いた位置情報の特定が不可能だった潜水艦においても、
量子航法装置の導入で正確な位置情報が特定できる可能性が示唆されています。
ミサイルや宇宙船、潜水艦などでは、量子航法システムを簡素化した
「 慣性航法装置 」と呼ばれるシステムが利用されています。
これは外部から電波による情報を受け取ることなく、
搭載するセンサーのみで自らの位置や速度を算出することができるという装置です。
量子航法システムが実現すれば、慣性航法装置を利用する
あらゆるものの精度向上も期待できます。
※ 慣性航法装置
加速度計とジャイロで、距離・方角を測定。
インペリアル・カレッジ・ロンドンのジョー・コッター氏と量子航法システム
https://i.gzn.jp/img/2023/06/08/quantum-navigation-test-success/04.jpg 量子航法システムの実験にはイギリス海軍の実験船
「 XVパトリックブラケット 」が用いられ、
甲板に量子航法装置の輸送用コンテナが設置されていました。
開発を支援したインペリアル・カレッジ・ロンドンのジョー・コッター氏は
「 実際に航行し、磁場が目まぐるしく変化する
現実の世界でテストを行うことは非常によい体験です 」と述べ、
「 十分な安定性を確保し、量子航法装置を適切に動作させるために
考慮する必要がある波やエンジンの振動が現実世界には数多く存在します 」
と述べています。
インペリアル・カレッジ・ロンドンとイギリス海軍が共同で行った
量子航法システムの実験の様子が以下。
船上に設置されたコンテナの中には、複雑な装置や機械が大量に並びます。
Imperial College London
We’re testing a new quantum navigation system with the Royal Navy!
https://youtu.be/c21Qc-2P9AI 0'55"
2023/05/26
1,762 回視聴
コッター氏は
「 量子航法装置だけで長時間にわたる位置情報の測定は可能ですが、
将来的には他のテクノロジーを用いて位置情報の修正を行わなくても、
量子航法装置だけでより詳細な位置を測定できるようになるはずです 」
と今後の展望を語っています。
テクノロジー系サイトの「 The Quantum Insider 」のマット・スウェイン氏は
「 量子航法システム実験の成功は、海軍の技術の大きな飛躍を示しており、
海軍におけるさまざまな作戦シナリオでのナビゲーション能力と
運用効率の向上に大きな影響を及ぼすでしょう 」
と述べています。
なお、量子航法システムの応用に関する具体的な詳細について、
イギリス海軍はコメントを控えています。
「 量子 」と云う語を用いるから、雲を掴むような話になるのだが、
要は、スピン( 電磁場方向 )の極性を測定することだ。
しかし、それで、距離と方角がどうやって判るのか雲を掴むような話だ。。。(^o^)ゞ
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nueq
貼り付け終わり、
※nueq さん解説。
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