老親やパートナーの介護で、腰や膝を痛めてしまう人は多い。これは、相手を強引に動かそうと力任せの介助を行っているからだ。体格差のある相手もラクラク介助できる、驚きの方法を教えよう。
きっかけは「介護される側」になったこと
「脳梗塞を患った私の左半身には、麻痺が残っています。そんな私のように非力な人でも、ポイントさえ理解すれば、体格差のある相手をラクに介助できるのです」
こう語るのは『写真と動画でわかる! 埼玉医大式 力がいらない介助技術大全』の著者、根津良幸氏(62歳)だ。
根津氏が自宅で脳梗塞を起こし倒れたのは、'99年12月7日のこと。社会福祉法人の副理事長・統括施設長として、新しい特別養護老人ホーム設立のため奔走している最中の出来事だった。
ICUに運ばれ、心肺蘇生と血栓溶解剤を使った治療でかろうじて命は助かったものの、当時38歳だった根津氏の体には左半身の麻痺という重い後遺症が残った。
「週刊現代」2023年5月27日号より
前編記事「半身の麻痺からリハビリで脱・要介護へ…経験者が教える「家族をラクに介護する方法」」で紹介した「急所を押さえて動かす介助術」には気をつけるべき点が3つある。後編では気をつけるべき点について解説し、さらに「ベッドに寝ている人をラクに起き上がらせる介助術」を紹介する。
気をつけるべき点について
(1)で気を付けたいのが、手の使い方だ。まず、指は握るのではなく、あくまでも膝や肩といった部分に触れるために使う(下記イラスト参照)。
「相手のことを強く掴んでしまうと、反射的に相手の体をこわばらせてしまいます。これで余計な力が入り、かえって介助に力が必要になってしまうのです」
相手の膝や腕を動かすときは「膝関節に指を軽く引っ掛ける」または、「親指・薬指・中指を手首の関節に引っ掛ける」だけにする。
「週刊現代」2023年5月27日号より
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