バイデン米大統領は5月7日、テキサス州のショッピングモールで8人が犠牲となった6日の銃乱射事件を受け、議会に銃規制の強化に向けた取り組みを促す声明を出した。
昨年6月、28年ぶりの本格的な銃規制法が超党派の賛成で成立し、21歳に満たない購入者の犯罪歴調査が厳格化されるなど一定の対策が進んだ。さらにバイデン氏は下院多数派を奪還した野党共和党に対し、与党民主党が提出している殺傷力の高い銃の販売禁止を盛り込んだ銃規制法案の早期成立を訴えかけた。
4月28日に「2024年の大統領選挙に再選を目指す」と正式表明したバイデン氏は「銃暴力の抑止」を最優先課題の1つに掲げている。民主党支持者に銃規制強化を求める声が多いことを意識した選挙対策だろう。
さらに後編記事『アメリカ「最悪の銃犯罪」急増で始まった「非モテ男」の過激化と「宗教回帰」のヤバすぎる現実』では、非モテ男「インセル」の過激化で、学校が踏み切った「最低の対策」について紹介しよう。
米疾病対策センター(CDC)の最新データによれば、銃による年間死者数は約4万9000人に達し、交通事故の死者数(約4万5000人)を上回っている。
前編『日本人も狙われる…?アメリカでアジア系が銃武装を余儀なくされる「アジア・ヘイト」のおぞましき実態』でも指摘したとおり、特にアジア系へのヘイトスクラムが激しくなっており、アジア系米国人の銃所持率が増加している。
しかし、最も深刻なのは2020年以降の若年層への銃の広がりだ。
その要因の1つとして、「非モテ」男性の過激化が指摘されている(4月18日付Forbes)。非モテのことを米国では「インセル(Incel)」と呼んでいる。
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