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日経ビジネス
フィリピン大統領選、「 独裁者の息子 」を押し上げた失望と幻想 ---------------------------------------------------------------
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00118/051000078/ 2022.5.10
< 抜粋 >
フィリピン大統領選は、
フェルディナンド・マルコス氏( 通称ボンボン・マルコス氏 )が当選。
現職副大統領のレニー・ロブレド氏や
元プロボクサーで上院議員のマニー・パッキャオ氏などを制した。
マルコス氏の父親はフィリピンに独裁体制を敷いた指導者として知られる。
1972年には戒厳令を布告し、反体制派を厳しく弾圧した。
「 なぜ『 マルコスの帰還 』が実現したのか。
多くの疑問が残されている 」。
デ・ラ・サール大学政治学科のクレオ・カリンバヒン准教授は、
「 今回の選挙では、多くのディスインフォメーション(偽情報)が
ソーシャルメディアで拡散し、マルコス陣営に有利に働いた 」
と指摘する。
その多くは、父マルコス氏の独裁を美化する誤った言説をはじめとした、
マルコス一族に都合のよい内容だったという。
例えばソーシャルメディアでは、
父マルコス時代にフィリピンが「 アジアで最も豊かな国 」だったという言説や、
アジアで最初の国際空港を建設したのが父マルコスだった
という投稿が広がり、
さらに小学校の給食プログラムを開始したのも父マルコスの成果だった
と指摘するコンテンツなどが拡散した。
ノーベル平和賞を受賞したジャーナリスト、マリア・レッサ氏が率いる
フィリピンのメディア「 ラップラー 」は、
調査の上、いずれの言説も誤りだと断じた。
こうしたマルコス独裁時代の歴史を修正するようなコンテンツは
16年前後から急増したという。
ラップラーはマルコス陣営がフェイスブックやティクトックなどを
効率よく巧みにコントロールし、
マルコス一族は偽情報を拡散する仕組みに多額の投資をしてきたとも指摘する。
さらにマルコス陣営が「 ケンブリッジ・アナリティカ 」に
アプローチしていたともラップラーは報じている。
同社は世界中の人々のスマートフォンの利用履歴などを解析し、
依頼を受けた選挙候補者の活動に役立てるビジネスを展開していた
英国のデータ分析会社だ。
※ ドミニオン選挙でもバイデン陣営の為に大活躍した。
だが、一部のメディアや研究者らの
「 偽情報キャンペーン 」に対する警鐘は国民の間にはなかなか届かなかった。
■ 国民の間に広がる疲労 独裁時代を知らない若者を中心に、
ソーシャルメディアの情報を好意的に受け止める声は多く上がった。
「 父マルコス時代はフィリピンにとって幸せな時期だった。
彼ら(マルコス一族)は悪くない。
その後の大統領や政治家、メディアが彼らを悪者に仕立て、
多くの(開発)プロジェクトをストップさせてしまった。
今、私たちは多くの隠された真実を知ることができる 」。
「 息子のボンボン・マルコスならば、
父のレガシー(遺産)を引き継いで国を良くしてくれるはずだ 」
と期待する。
※ これはある一面真実だ。
田中角栄同様、「 天皇の金塊 」をマルコスもまた使い、
私腹を肥やしながらも国土の発展を促進した。
上記ラップラーが、ノーベル平和賞受賞者という
【 連中 】の手羽先が指導する組織であれば、
【 連中 】が潰したマルコスを悪く云うのは当たり前。
マルコスを倒した「 ピープルパワー革命 = 黄色革命 」と
これによって大統領に就任したコラソン・アキノは、
CIAの傀儡である。
だが、不思議なことにマルコス一族とアキノ一族は
遠戚関係にあると、フィリピンの両一族と縁戚にある筋から聞いた。
フィリピンは若年人口が多く、有権者の過半数は40歳未満だ。
またソーシャルメディアも広く普及しており、
その利用時間は世界一長いとされている。
マルコス陣営はこの環境を巧みに利用し、
他陣営よりも一枚も二枚も上手な情報戦略を展開したと見ることはできるだろう。
※ つまり、世界一、洗脳されやすい民族でもあるということ。
その何よりの歴史的証拠が、
フィリピン各地のいたるところに建つイグナチオ教会。
イグナチオ・ロヨラ、、、、イエズス会教主の名をそのまま使った教会だ。
そのイエズス会のローマ法王フランシスコ1世が2015年に
マニラを訪問した際には、とてつもない群衆が全土から参集した。
フィリピン人の多くは熱烈なイエズス会系カソリック信者であり、
バチカン献金額では、世界1~2を争う。
イエズス会こそが、フィリピンを蹂躙し、奴隷化したというのに、
その事実をほとんどのフィリピン人は知らない。
尤も、ニッポン人も似たようなものではあるが。。。。。
ニッポン人も、自国の本当の歴史をまるで知らない。。。。。。
なぜ、国民は過去を美化し、
マルコス一族を称揚するような言説を歓迎したのだろうか。
東京外国語大学の日下渉教授は「 疲労と癒やし 」をキーワードとして挙げる。
長く続いた政治の混乱により、
フィリピン経済は一時「 アジアの病人 」と呼ばれるほど低迷した。
だが民主化後は徐々に成長軌道に乗り、
2000年代半ばには高度経済成長期を迎える。
※ この記述は間違っている。
「 民主化 」して、低迷が始まったのだ。
マルコス 1965 - 1986
アキノ 1986 - 1992
ラモス 1992 - 1998
エストラダ 1998 - 2001
----------------------------
アロヨ 2001 - 2004
アキノ3世 2004 - 2016
ドゥテルテ 2016 - 2022
俳優エストラダのメチャクチャ政治の後、
アロヨ女史によってようやくまともな政治が始まった。
だが、人々は自己責任を問われ、自らを厳しく律し、
時に海外での就労など不安定な環境で懸命に働くこと求められた。
政府は一般の人々を助けようとはしてくれない。
「 グローバル化と新自由主義を特徴とする労働市場に取り込まれ、
不安定さとストレスにさらされた人々の間で疲労感が広がり、
政治に対して『 癒やし 』を求める風潮が強まったのではないか 」
と日下教授は見る。
ドゥテルテ大統領は庶民派として人気を集めたが、
貧困対策や経済対策については新自由主義的だった。
ドゥテルテ大統領の麻薬戦争の暴力で明らかになった人権侵害には疲弊している。
※ ドゥテルテの麻薬戦争は、
支那と組んで麻薬権益をすべて我が物にするためのもの。
< newsNueq-674 :フィリピン麻薬戦争、防犯カメラに映った真実 > 2017/12/02
< newsNueq-2422:フィリピンカジノに40万中国人の不法滞在で
犯罪が横行 > 2019/12/29
< newsNueq-2423:フィリピン電力を支配する中国:いつでも停電可能 > 2019/12/30
< newsNueq-2493:米軍地位協定を破棄:ドゥテルテ大統領 > 2020/02/12
< newsNueq-946 :コンドームは気持ちよくないから使わない
:ドゥテルテ大統領 > 2018/02/27
人々は苛烈な麻薬戦争に耐え、新自由主義の下で懸命に働いた。
だが蓋を開けてみれば、富は一部の既得権層やエリートに依然として集中し、
多くの人は成長を実感できないままでいる。
加えて、民主化から30年以上が経過しても
社会にまん延する汚職が根絶されることはなかった。
※ フィリピンの選挙では、票を買う紙の札も、鉛の銃弾も巷を飛び交う。
世界銀行のデータによれば、
フィリピンのジニ係数( 所得格差を表す指標で、1に近づくほど格差が大きい )
は改善が進んではいるもの、
2018年の段階でも0.423と社会不安が想定されるレベルにある。
フィリピンのジニ係数推移( 1985~2018 )
https://d3fy651gv2fhd3.cloudfront.net/charts/philippines-gini-index-wb-data-@2x.png?s=phl.si.pov.gini%3aworldbank&lbl=0&v=202204270000V20220312 フィリピンのジニ係数推移( 1988~2015 )
https://www.ceicdata.com/datapage/charts/o_philippines_ph-gini-coefficient-gini-index-world-bank-estimate/?type=area&from=1985-12-01&to=2015-12-01&lang=en ※ 上記2つのグラフ、どちらも世界銀行データなのだが、
数値がやや異なる( のはなぜ? )。
※ ご覧のように、マルコスが政権を追われるまでは
ジニ係数は良い状態にあったが、
民主化直後からジニ係数が跳ね上がっている。
2015年頃からジニ係数が劇的に下がっているが、
この頃から中国資本がフィリピン全土を席巻し始めるようになっている。
ボラカイ島は、支那人で溢れかえっていた。
< newsNueq-1039:南の楽園リゾート、環境破壊で次々閉鎖 > 2018/04/02
東南アジア諸国のジニ係数推移( 1990~2010 )
https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXBZO6469076027122013I00001-PN1-9.jpg?s=1c6bb81bb1577df441c73ca0058c72d5 ジニ係数ランキング( 2019 ) ----------------------------------------------------
https://www.globalnote.jp/post-12038.html ※ なぜかフィリピンがない。。。。
0.42ならワースト5のメキシコと並ぶはずだが。。。。
日本は、0.33のワースト16位。
アメリカは、0.40でワースト8位。
ロシアは、0.32のワースト20位で、日本より格差が少ない。
世界・収入不平等指数( ジニ係数 )ランキング:141ヶ国 -----------------------------------------------------------
http://top10.sakura.ne.jp/CIA-RANK2172R.html ※ フィリピンは2009年データ:0.448でワースト42位。
アメリカは、2007年:0.450でワースト41位。
ロシアは、2012年:0.420でワースト50位。
ウクライナは、2009年:0.282でワースト124位。
日本は、2011年:0.379でワースト73位。
TOP( ワースト141 )は、スウェーデン2005年:0.230。
収入不平等指数(ジニ係数)ランキングマップ -----------------------------------------------------
http://top10.sakura.ne.jp/map/CIA-RANK2172R.png ※「 社会不安が想定されるレベル 」とあるが、
他国と比べてさほど悪いわけではない。
各国の汚職・腐敗を監視するNGO
独トランスペアレンシー・インターナショナルが公表しているランキングでも、
フィリピンは180ヶ国・地域中117位と低位にある。
カリンバヒン教授
「 民主主義は国家の発展や人々の繁栄、幸福につながらない
というシニカルな見方が広がり、
過去を賛美するノスタルジー(郷愁の念)が広がった 」
美化された過去を現代に再現する役割を自負するボンボン・マルコス氏は
討論会などには参加せず、選挙活動で重点を置くソーシャルメディア上で
国民に団結を呼びかけた。
ボンボン・マルコス氏の公式ユーチューブチャンネルで最も人気を集めた動画は、
ティクトックに支持者が投稿したコンテンツを息子と一緒に見て
和やかに楽しむ、いわゆる「 リアクション動画 」だった。
このイメージ戦略もまた、国民の心を捉えたようだ。
「 彼はいつも謙虚で、他人の悪口を言わない。
他の候補のように無駄な議論もしない 」( 29歳会社員 )
「 彼はメディアがいないところでも常に紳士的で優しい態度を崩さない。
サポーターがスマホで撮影した動画がたくさんあるから、よく分かる 」
( 25歳会社員 )
■ 幻想を見せ続けることはできるか 同氏の具体的な政策ははっきりしないが、
ドゥテルテ大統領の路線は継承する意向を示している。
マルコス家とドゥテルテ家とは関係が深く、
今回の選挙では副大統領に立候補し当選した
ドゥテルテ大統領の長女サラ氏とタッグを組んだ。
※ この長女とオヤジの確執はあったが、
サラ( ダバオ市長 )が副大統領候補となったのは、
なにより他の候補が当選して、ドゥテルテが犯罪人として
逮捕されることを回避することが第一の目的。
2番目の目的は、マルコスをウラから操作する( 院政を敷く )為。
汚職についてはむしろ悪化するのではないかと見る向きもある。
日下教授は
「 マルコス家の歴史修正主義プロパガンダとリーダーシップを求める
支持者の漠然とした希望がソーシャルメディアで共鳴し、
具体的な問題解決のプログラムを提示した
(対立候補の)ロブレド陣営を凌駕した 」
と指摘。その上で
「 今回の選挙は、仮想現実が現実を作ったと言えるかもしれない 」
と話す。
不安定化に拍車がかかっている世界・経済情勢。
理想を容易に投影できる仮想現実の政治に対する影響力は
今後ますます強まるだろう。
フィリピン大統領選はその先行事例と言えるのかもしれない。
nueq
貼り付け終わり、
※nueq さん解説。
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