2021年度は過去最多の14件……これは新電力会社の倒産件数です。直近1年以内に電力小売事業から撤退した事業者を含めると31社になります。直近では新電力の6割が赤字だと報道されています。これらの電力会社と契約していた人はどうなるのでしょうか?資源高がさらに進むと予想される昨今、他人事とは言えない問題です。(『らぽーる・マガジン』原彰宏)
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※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2022年4月18日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
突然、メールで届く「電力供給停止」の連絡
2021年度は過去最多の14件……これは3月30日の帝国データバンクによる新電力会社の倒産件数です。直近1年以内に電力小売事業から撤退した事業者を含めると31社になります。
2016年の電力自由化に伴い新規参入した「新電力」の倒産や事業撤退が相次いでいるのです。
「エルピオでんき」や「ウエスト電力」が4月末日で電力供給を停止する…見るからに恐ろしい報道ですね。
突然、「エルピオでんきは、2022年4月末に利用できなくなります」というメールが届いたらどうしますか。びっくりしますよね。
電気を止めるってどういうこと…?と思うはずです。
このメール、結局は「電力の小売り事業から撤退するから、他社への切り替え手続きをしてください」という連絡でした。自分で電力を供給してくれるところを探さなければならないというわけです。
他を探すにも、一部の事業所は業績不振で新規受付を停止しているところもあります。
電気代を安くするために既存の大手電力会社から乗り換えたのに、供給が止まってしまっては元も子もありません。
倒産した新電力の多くは、自前の発電所を持たず、調達の多くを卸市場に依存していました。エネルギー価格の高騰で電力の調達コストが膨らみ、新電力各社の収益を大きく圧迫しているのです。
電力調達コスト高騰では、2021年冬にも電力市場価格は一時1キロワット当たり200円を超えるなど、現在よりも高値圏で推移していた時期がありました。
ただ当時と異なるのは、値上がりが長期間にわたり、かつ値下がりの材料が乏しいということで、電力会社としての将来見通しが立たないという点です。
新電力各社の経営は当時以上に厳しく、相次いで事業撤退や新規契約を凍結しているほか、経営破綻が多発する要因にもなっています。
ウクライナ情勢が改善される見通しが立たない中で、今後も原油・液化天然ガス(LNG)の相場高騰など、世界的なエネルギー需給のひっ迫が想定されます。
発電量の多くを火力で占める日本では、高値圏にある電気料金がさらに上がる可能性があり、新電力各社においても値上げに踏み切るなどの対応が求められます。
その場合、既存電力会社よりも電力料金が安価であることで顧客を獲得してきただけに、十分な価格転嫁ができない可能性もあります。現状以上の市場価格上昇に耐えきれない事業者の倒産が今後も発生する可能性が高いと見られています。
※参考:「新電力会社」倒産動向調査 – 帝国データバンク(2022年4月2日配信)
逆ザヤ……つまり、電力仕入れ価格と販売価格が逆転する現象で、電力を売れば売るほど赤字が増えることになってしまっているのですね。
さて、契約している電力会社が倒産してしまったらどうなるのでしょうか。突然、電気は止まってしまうのでしょうか?
その答えは、「すぐに止まることはありません!」と説明されています。たとえ契約先の電力会社が事業を停止しても、すぐに電気が止まることはありません。一定期間は大手電力から電気が届きます。
問題は、この「一定期間」にあります。
国の指針では、撤退・廃業する電力会社は遅くとも15日前には利用者に電力供給の契約解除日を知らせることになっています。利用者は解除日までに新たな電力会社と契約すれば、引き続き電力を使うことができます。
もし何もせず、解除日を過ぎて「無契約」の状態になっても、各地域の大手電力会社が電力を供給する仕組みになっているので、すぐに止まることはありません。
経済産業省資源エネルギー庁ホームページには「新たな供給元が見つかるまでの間は、各地域の電力会社(東京電力、関西電力等)から供給を受けることになります」と書かれています。
ただ無契約が数カ月続くと、電力は止まります。早めに新たな契約先を見つけなければなりません。
一般家庭の場合、新たな電力会社とは、無契約だった期間にさかのぼって契約ができるそうですが、ここまでの行動はすべて「自力」です。
最終保障供給約款…ここまで説明したように、仮に新電力からの送電が止まってしまった場合には、代わりに送配電網を管理している会社(各地域の大手電力会社)が電気を供給してくれるという、いわばセーフティーネットのような制度があります。
これに関しては、経済産業省が出している情報(PDF)があります。
※参考:最終保障供給料金の在り方について – 経済産業省(2022年3月24日)
ここに書かれていることで、非常に気になるものがあります。「約2割増しの料金」という記載です。
最終保障供給の料金メニューについては、①全ての需要家が供給を受けられること、②需要家が常時依存をしないよう、必要最低限の料金メニューであることを基本とし、現行の最終保障供給約款においては、みなし小売電気事業者が設定している標準的な料金メニューの約2割増しの料金(臨時的な料金メニュー相当)で設定されている。
つまり、契約した新電力会社が倒産した場合、当然、その会社の安い電気料金が適用されることはないにしても、電気供給を止めるわけにはいかないので、セーフティーネットにより電気が供給されたとしても、標準料金の「2割増」の料金がかかるということになるようです。
自分で電力会社を探さなければならないうえに、電気料金は2割増しになる……契約電力会社が倒産したら、もう“踏んだり蹴ったり”ですね。
ただ、こんなご時世ですので、なかには新規受付をしていない事業所もあります。大手電力会社も、供給量の関係で受付していない場合もあるそうです。
新電力会社と契約したことで、会社が倒産しないかの心配にさらされるようになったのも、すべてはエネルギー価格の高騰が原因です。
エネルギー価格高騰はコロナのせいだとも言いたいですし、ロシアのウクライナ侵攻のせいだとも言いたいですよね。“電気難民”なんて洒落にもならないですからね…。
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