先週、ドル円は日米財務省会談や黒田日銀総裁の発言などで大きく動きました。今週は28日に日銀政策決定会合、さらに5月4日にはFOMCの政策決定会合があります。ここからどんな戦略で投資するべきか。GW明けまでのシナリオを解説します。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
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※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2022年4月25日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。
先週のドル円相場は、20日の東京タイム開始前にするする上昇して、129.400円レベルに上伸することとなりました。
リアルな相場を見続けていたものからしますと、このまま130円に乗ってしまうのではないかとさえ思いましたが、3回それを超える動きを試したものの、どうやら129.500円にかなり大きなノックアウトオプションがあり、その防戦売りもあって、一気に乗り越えることはできなかったようです。
その後、同日の10時10分に日銀が案の定指値オペ実施を通告したあたりからロングの利確が出始めたものと思われ、東京タイムではいったん128円ぎりぎりで下げは止まりましたが、ロンドン勢が出てからはさらに下値押しが始まり、NY勢も再度下押しを仕掛けたことから、23時ごろに127.455円を記録する動きとなりました。
テクニカル的にはさらに下落する可能性が常にあったわけですが、結局、先週の新高値からの押し目はここで終了。その後は、結構な値幅で128円を挟みながら上下動をくり返して、金曜日のNYタイムを迎えました。
米ドル/円 15分足(SBI証券提供)
相場がいったん構えたのは、日米の財務相会談で日本の鈴木俊一財務大臣が、最近の円安を「急激」と表現し、ジャネット・イエレン米財務長官と通貨の動きについて緊密にコミュニケーションを取ることに同意したと述べたことです。
その直後に、なぜかTBSだけがワシントンからの取材報道を追加し、さらなる円安を食い止めるための協調通貨介入の考えを議論した可能性が高いと報じたことからいったん様子見となり、これを材料にしても127円台に沈み込む場面がありました。
どうも本邦側の政府関係者がそうした話をしたことに起因して報道されたようですが、他のメディアは一切、そうした報道をしておらず、結果的には協調介入の話を本当に持ち出したのかどうかも言質は取れず、米国の金融サイト「ZeroHedge」ではイエレンが跳ねのけたという書き方がされています。
ちなみにロイターの報道では、財務省幹部は24日までに、先の日米財務相会談で為替の協調介入を協議したとする一部報道、端的に言えばTBSの報道について「事実ではない」と否定的な見解を示しています。
TBSの報道は事実に反しており、当局として取材に応じた事実もないと言い切っていますから、週明けから介入などありえないという市場のコンセンサスからドル円がさらに上昇する可能性を考える必要が出てきています。
そもそも、先週段階でも市場参加者は簡単に為替の協調介入などが行われる可能性が極めて低いことを認識したようで、今度は米債金利の上昇に合わせる動きを示現するようになります。
金曜日の相場の極めつけは、この日ニューヨークのコロンビア大で講演した黒田総裁が日米の経済状況は大きく異なっており、日銀は現在の金融緩和政策を継続する必要があると述べた途端に、アルゴなのか投機筋なのかわかりませんが、円安には触れなかったにも関らず129.100円レベルまで跳ね上がる動きを見せました。
さすがに週末ということもあり、利確も出て128円台に押し戻されたドル円ですが、28日の日銀政策決定会合で、毎回の御念のような表現での現状維持と、その後の黒田総裁の緩和継続意向再確認発言が飛び出せば、完全に130円を超えることになるでしょうし、このタイミングですでに130円に乗せているとなるとさらに上昇し、131円~132円あたりも視野に入る状況です。
さて、28日を通過すれば本邦は完全なゴールデンウイーク入りとなり、今年は2日と6日を休めれば10連休を過ごすことができます。
ただ4日の午前3時にはFOMCの政策決定があり、利上げも資産縮小についても材料が出尽くすことになりますので、ここでドル円も相当な巻き戻しを食らうリスクは考えておく必要がありそうです。
そもそもGW期間中はドル不足から輸入勢のドル買いは出なくなり、上値には輸出勢のリーブオーダーがぎっしり並ぶことが容易に予想されます。
ですから、たとえ28日の日銀会合後に吹き上げても、それ以上にスルスル上る可能性はかなり限られることになり、逆に4日のFOMCを受けて一気に反転下落する危険性を考えておく必要がありそうです。
足もとのドル円相場をテクニカル的にだけ見ている方は、ここからドル円が調整下落するのではないかといったお決まりの予想もされているようですが、相場の動きを見ていますとこれでピークアウトとは思えず、さらに上方向を試しに行く可能性のほうに賭けるべきであろうと考えております。
したがって、しっかりストップロスを入れた形でドル円は押し目買い、28日の日銀会合後まではとにかく保有し、まさかの政策変更があればいったん手仕舞うこととして、上に吹き上がるのを待ちたいと思います。
また吹き上げたところは手堅く利確して、安らかなゴールデンウィークを過ごされるのが1つのアイデアですし、逆に高値で売りを指してFOMCを受けた下落の動きにさらに賭けてみるというのが、もう1つのアイデアになります。
そもそも、28日の黒田会見を経ても吹き上がらないとなれば、このシナリオは完全に没になりますが、22日の講演直後の相場を見ていますと、同じことが起こる確率は相当高そうで、これに賭けてみるのもトレード戦略の1つとなりそうです。
今回のドル円の上昇は月足でみると相当な勢いですから、応分の調整が入る危険性を指摘する向きの発想はよくわかります。
しかし、ここ10年のトレンドの出方とはまったく異なる凄まじい円安が市場の動きとなっていますので、少なくとも130円を超える相場にお目にかかれる可能性は相当高いのではないでしょうか。
もちろんこうした売買戦略を実際に行うかどうかは、読者の皆さまの判断次第ですし、損が出ても責任は取れませんが、ここまで相場を見てきた感覚でいうと、当たらずといえども遠からじの感じがしています。
答え合わせは連休明けに行いたいと思います。
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