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細菌(バクテリア)と聞けば、有害なものばかりが思い浮かぶかもしれないが、本当のところは役に立つ細菌も多い。今回発見された細菌は、川底にたまった発がん性物質である「
ダイオキシン」を除染してくれるという。
「細菌によって引き起こされたプロセスによって、ダイオキシン類の毒性が大幅に減少したことを確認しました」と、ラトガーズ大学(アメリカ)のドナ・E・フェネル教授は話す。
厄介な毒性物質「ダイオキシン類」
毒性が強く、しかも環境中でなかなか分解されない厄介な化合物が「
ダイオキシン類」だ。これはポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニルの3つの化合物の総称で、塩素で置換された2つの環を特徴としている。
その異性体を含めると419種あり、中でも一番毒性が強いとされるのが「2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン(2,3,7,8-TCDD)」だ。
ゴミを燃やしたときや、さまざまな産業プロセスで発生するのだが、人に対して発がん性があり、マウスやラットの実験では催奇形性も確認されている。

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汚染された川を細菌が自動除染してくれていた
今回、サンプルが採取された米ニュージャージー州北部を流れるパセーイク川は、1983年の検査で川底の土砂からダイオキシン類をはじめとするさまざまな有害物質が高濃度で検出された川だ。
そのために「
スーパーファンド法」(汚染の責任や補償の範囲などを定める)によって汚染対策の優先地域に指定されている。
川をきちんと除染するには、川底をさらって汚染された土砂を取り除かねばならない。だが、ダイオキシン類などの一部の有害物質は、そこに潜む細菌が除染してくれていることが判明した。
研究グループがパセーイク川の川底から採取した固形物を水と栄養に混ぜて、これに2,3,7,8-TCDDとジクロロベンゼンを添加してみたところ、固形物に含まれていた細菌によって脱塩素化されることが確認されたのだ。

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川を除染してくれる細菌「デハロコッコイデス属」
DNA解析によって、その細菌の正体は「デハロコッコイデス属」の仲間であることが分かっている。これのおかげで、パセーイク川の2,3,7,8-TCDDは完全に脱塩素化される可能性もあるそうだ。
なおデハロコッコイデスのこの力を利用した浄化技術は、さまざまなところで研究されている。
ラトガーズ大学の研究グループも、細菌が脱塩素に使った酵素を特定し、除染技術の開発を目指す予定であるとのことだ。
この研究は『Environmental Science & Technology』(5月20日付)に掲載された。
2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-dioxin Dechlorination is Differentially Enhanced by Dichlorobenzene Amendment in Passaic River, NJ Sediments | Environmental Science & Technology
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.0c00876
References:phys / futurism/ written by hiroching / edited by parumo 追記(2020/08/23)本文を一部修正して再送します。
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