令和2(2020)年の元旦を迎えた。
この正月三が日は家族だけでなく、ふだんはあまり交流のない親戚の高齢者や子供と宴席を共にすることもあるだろう。そして、そんなおめでたい日に、こんなニュースが飛び込んでくる。「××さんが餅を喉に詰まらせて亡くなりました」。
お正月にはこうしたニュースが必ず流れる。筆者は医師として、そんな悲劇をどうか回避してほしいと思う。
人間の口は「飲食物を食道から胃」「空気を気管から肺(このルートを『気道』と呼ぶ)」に送る共通の入口であり、健康な成人ならば喉頭蓋(こうとうがい)というふたで2つのルートは交通整理されている。しかしながら、特に高齢者は喉頭蓋の反射が弱く、気道に食物を迷入(誤嚥)させて窒息しやすいのだ。
「異物による窒息」といえば高齢者のイメージが強いが、1~14歳の日本人の死因トップは「不慮の事故」であり、そのうちトップ3は「窒息」「交通事故」「溺水」である(消費者庁「子供の事故防止に関する関係府省長会議」平成29年度)。
宴席では子供向けではない料理も並ぶだろうし、親の目の届かないところで口にする可能性も高いので、注意をしてほしい。
また2019年4月、「女性ユーチューバーが赤飯おにぎり早食いを生配信中に倒れて死亡する」という事件があった。女性は40代で、気道異物や窒息死のリスクは全世代に共通点するといっていいだろう。
では、お正月に食物を喉に詰まらせてしまった人に遭遇した時、一般人でも可能な応急処置について、日本医師会のウェブサイトなどを参考にしてまとめてみた。
「餅で窒息したら掃除機で吸引すればよい」は本当か
1:咳をさせる
食事の最中、急に喉を抑えて苦しがる人を見かけた時、意識があるようならば「咳をして!」と声をかけてみる。強制的に咳をすることでポロッと異物が取れることがある。突然の窒息で気が動転している患者も、この声かけで冷静に対応できる可能性が高い。
2:背部叩打(こうだ)法
1と同時に、気道の異物除去法として最もポピュラーなのが「背部叩打(こうだ)法」である(図表1参照)。うつむき加減にした患者の背中を布団叩きのような勢いでバンバン叩くのである。青アザが残りかねないぐらい叩くほうが、異物がポロッと取れやすい。
例えば、しゃぶしゃぶ肉などは、喉をのぞいてトングや箸などで引っ張り出すと、あっさり取れることがある。患者を仰向けにした時、高めの枕を入れると喉の奥が見えやすい。舌が邪魔ならば、大きなスプーンを用いて(右利きの場合)左手で左上方に圧排して、右手で箸やトングを持って操作する(写真参照)。喉の奥がよく見えない場合には、助手役の人にスマホのバッテリーライトなどで照らしてもらうと見やすくなる。
掃除機と同様に、1~2分試しても手におえないようならば深追いせず、速やかに呼吸確保に戻るべきである。
7:心臓マッサージ(胸骨圧迫法)
「1」~「6」を試しても窒息が解除されず、患者の顔色は悪く、意識も遠のいてきた。こんな場合は心臓マッサージである。
胸骨(両乳首の中間あたり)を1分間に100~120回、力いっぱい圧迫するのだ。まれにマッサージで肋骨が折れることもあるが、窒息死よりはマシなので、思い切って体重を載せて圧迫すべきである。5分もやればグッタリくるので、複数名での交代が望ましい。胸骨を圧迫すれば肺も動くので、心臓マッサージ単独でも多少の酸素取り込みが期待できる。
心臓マッサージに余裕があれば、「心臓マッサージ30回→人口呼吸2回→心臓マッサージ……」と、心臓30回ごとに人口呼吸を2回挟む方法が、一般的には推奨されている。
しかし「マウス・トゥ・マウス」の人口呼吸に自信がなければ、救急車の到着まで心臓マッサージを続ければ、一般人の応急処置としては合格である。
なお、最近では掃除機に接続できる専用の吸引フラットノズルといった、喉に食物・異物が詰まって取れない時の応急処置として利用するための「専用商品」も販売されている。
本当に役立つかどうかは自己責任だが、高齢者のいる家庭では保険として1本買っておくのも悪くない。アテにはしないほうがいいだろう。
また、誤嚥対策の王道は応急処置よりも「高齢者の食材は小さく切る」 「寝転がって物を食べない」 「早食い・大食いなど食物で遊ぶのは厳禁」などの予防が重要である。子供達へもマナーのみならず、安全という意味でも食育を心がけたい。
貼り付け終わり、パチパチ~大拍手!
*年を取ると「ながら行為」は禁物だ(=・ω・=)にゃ~♥
食べる時には食べることに集中、考えながら、テレビを見ながら食べると誤嚥しやすいし、餅がのどに詰まるw
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