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テスラのバッテリー研究を行っているチームが、「使い切って再充電」というバッテリー寿命を縮めるサイクルでも160万km走れるというバッテリーに関する論文を発表しています。
A Wide Range of Testing Results on an Excellent Lithium-Ion Cell Chemistry to be used as Benchmarks for New Battery Technologies
http://dx.doi.org/10.1149/2.0981913jes
Tesla battery researcher unveils new cell that could last 1 million miles in 'robot taxis' - Electrek
https://electrek.co/2019/09/07/tesla-battery-cell-last-1-million-miles-robot-taxis/
アメリカの一般家庭が所有するガソリン車の走行距離は、大半が1日0kmから80kmで、平均すると52km。一方、電気自動車(EV)の航続距離は、初期こそ100km台だったりしたものの、改良が重ねられて300km~400kmも珍しくなくなり、一般家庭の需要を十分満たせるようになっています。
一方、タクシーや長距離トラックだと、バッテリーを使い切っては再充電して走り回ることになります。
バッテリーの容量に対してどれぐらい放電するかを「放電深度(Depth of discharge:DOD)」と呼び、バッテリー寿命は浅い放電深度で繰り返し使った方が長くなります。つまり、タクシーやトラックのような「100%DOD」の使い方では、バッテリー寿命は必然的に短くなってしまいます。
テスラのバッテリー研究を行っているジェフ・ダーン氏らは、複数条件下で、さまざまな正極・負極・電解質の組み合わせのリチウムイオンバッテリーを試験。その結果、LiNi₀.₅ Mn₀.₃ Co₀.₂ O₂(NMC532)/AGセルが、100%DODのサイクルでも長寿命であることを発見しました。
下記グラフは横が充電サイクル数、縦が使用できる充電容量。今回の試験結果である緑色と紫色の線を、従来のバッテリーを100%DODサイクルで使用したときの結果を示した黒色と比較すると、劣化が非常にゆっくりであることがわかります。40℃の環境下(緑色)でも4000サイクル、テスラのアクティブクーリングシステムを想定した20℃(紫色)だと、サイクル数は6000に及びます。
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