これらのことを総合すれば、最も蚊に刺されやすい人物像は、身体が大きく新陳代謝が高く、O型で、運動後かあるいは飲酒をしていて、貧乏ゆすりをしている人ということになる。血液型は仕方がないものの自分が今、蚊に好かれてしまっているかどうか気にしてみてもいいかもしれない。
参考:「Mashable」、ほか
文=仲田しんじ
■蚊にまつわる5つの真実
イギリスの内科医であるロナルド・ロス(1857-1932)はインド医務官の職にあった1881年から1899年の間にマラリアの研究を行い、メスの蚊が人間へのマラリア感染の媒介になっていることを発見した。この発見が1898年8月20日だったことから、毎年8月20日は“蚊の日”として世界中で蚊がフィーチャーされている。
世界では今でも蚊が媒介する感染症で多くの人命が失われており、この事実を無視することはできない。一説では世界中の感染症の17%は蚊を媒介にしているともいわれており、決して蚊をあなどってはいけないのだ。そして、そうであるからこそ我々は蚊についての“真実”をもっと知っておくべきなのだろう。
実際に蚊は我々が考えているよりも知的でスマートな生き物であるが、そんな蚊の卓越した能力に人類が気づかされたのは最近になってのことである。そこで“蚊の日”にもちなんで世界最大のテックサイト「Mashable」の最近の記事で、蚊についての“真実”を特集している。
1. ニオイを嗅いでいる
カナダ・ウォータールー大学の研究チームによれば、蚊はニオイを感じて吸血の対象となる“ターゲット”に引き寄せられているという。
特に二酸化炭素を敏感に感知し、なんと100メートル先からでも二酸化炭素の発生源を特定して近づいていくということだ。もちろん我々の呼吸で放出される二酸化炭素も鋭敏に察知して寄ってくるのである。言うまでもなく、身体が大きくて呼吸の容量が多い者ほど蚊を引き寄せることになる。
2. O型の血をより好む
同じ場所でどういうわけか自分だけ多く蚊に刺されているという人はO型の可能性が高い。蚊はO型の血液を好むのである。
蚊は血中タンパク質を欲して血液を吸いにくるのだが、O型のタンパク質をある意味で“テイスティング”できるのである。O型の人々は蚊に好かれやすいのだと腹をくくるしかなさそうだ。
3. 蚊は目が悪い
鋭敏な“嗅覚”を持っている蚊だが、視力のほうはそれほどでもなくむしろ悪い。
蚊は単眼(ocellus)と呼ばれる単純な構造の目を持っており、全方位を見渡すことができるものの、認識できる視覚情報は断片的で奥行きがない。それでも鋭い嗅覚と組み合わさることで、ナビゲーションシステムとしては優秀なものになる。
4. 飲酒でも寄ってくる
二酸化炭素に敏感であるだけに、運動後やアルコールを摂取して血行が良くなっている者は、二酸化炭素が活発に運び出される分、より蚊を引き寄せやすい。
同じ理由で妊娠中の女性や肥満の人など、安静時の代謝が高い人がより蚊に狙われやすい。
5. 特定の視覚的刺激に引き寄せられる
蚊はさまざまな視覚的な刺激に誘われることがこれまでの研究でわかっている。
蚊は静止しているものよりも動いているものに引き寄せられるのだが、単調な繰り返し運動、たとえば貧乏ゆすりなどには特に誘導されるということだ。
一方で蚊は風を嫌う。2.5ミリグラムしかない蚊は簡単に風に流されてしまうからだ。したがって蚊よけのための扇風機やファンは有効である。
これらのことを総合すれば、最も蚊に刺されやすい人物像は、身体が大きく新陳代謝が高く、O型で、運動後かあるいは飲酒をしていて、貧乏ゆすりをしている人ということになる。血液型は仕方がないものの自分が今、蚊に好かれてしまっているかどうか気にしてみてもいいかもしれない。
参考:「Mashable」、ほか
文=仲田しんじ