世界が大注目する米ヒストリー・チャンネルUFOドキュメンタリー『Unidentified: Inside America’s UFO Investigation』日本最速レビューシリーズ!
7月5日に放送された米FOXニュース番組『タッカー・カールソン Tonight』のインタビューで、ドナルド・トランプ大統領は「先日、UFOの報告を受けたことを認められましたが、UFOは実際に存在するのでしょうか?」と聞かれ、「そのことについては、あまり話したくはない。しかしながら、私と同じように、この手の話をあまり信じないパイロットやコマンダーたちが実際に目撃したというのだからね。ま、何事も可能だということだ」と回答した。
また、「政府高官から、空軍基地でUFOが墜落したと聞いたが」という質問に対しては、「聞いたことないね。その報告は受けていない。政府は関わっていない。ま、ガセだと思うけれど、私は偏見を持たない人間だからね」と大統領は真面目な顔で返した。
「あまり話したくはない」と言ったこと。「UFO墜落」に関しても完全には否定しなかったこと。何よりも、UFOなんてサイエンス・フィクションの世界だとバカにはしなかったことから、ネット上は「UFOは確実に存在する」「大統領が報告を受けるようなUFO活動がある」と大盛り上がりした。
それと同じ夜、米ヒストリーで『Unidentified: Inside America’s UFO Investigation』の最終話である第6話「The Revelation」がオンエアされた。だがその内容は、必ずしも「UFOは存在する!」と手放しで喜べないようなシビアなものであった。

第6話は、かつて米国防総省のAATIP(高度航空宇宙脅威確認プログラム)チームの責任者だったルイス・エリソンドが、現在所属する”エリート集団がUFOを調査する”をコンセプトにしたNGO団体To the Stars Academy of Arts and Sciences(TTSA)の創設者トム・デロングと共に、イタリアを訪問するところからスタート。
イタリアで彼らは、長年UFOを研究している団体CUN(Centro Ufologico Nazionale)と情報交換し、意見を交わす。CUN創設者で航空宇宙学専門家であるロバート・ピノッティ博士は、イタリアの特殊部隊に所属していた元軍人らとともに「UFOは一体何なのか」を調査してきた。過去70年以上にわたる1万3000件という膨大なUFO遭遇データベースを持つ彼らは、2004年に南シチリアのカンネートで起きた不可解な連続火災事件もUFO/USOの攻撃によるものだと確信していた。
●イタリア・カンネート事件とは!?
2004年頃、カンネートでは電気機器が次々と火を吹き、町中至る所で火災が発生するという不可解な事態が起きていた。電力会社が供給を緊急停止してからも原因不明の発火はおさまらず、町はカオスな状態となり、科学者、電気工学者、軍までもが現地に駆けつけた。

現地に到着した軍のヘリは、円盤型の小型UFOに追いかけ回された挙句、光線を撃たれて翼の一部が破壊し、電気系統も壊されて不時着した。この様子を町の人たちが目撃しており、写真も何枚か撮られていたが、確かにヘリの真後ろに円盤型のUFOがぴったりとついていた。
一方で科学者や電気工学者たちは、コンセントが抜いてあるドライヤーが、突然火花を散らして燃える瞬間を目撃。強力な電磁波ビームによる攻撃を受けているのではないかと懸念する。科学者たちは調査の結果、電磁波ビームが町のすぐ側にある海の底から出ているようだということまで突き止めるが、誰が何の目的で放っているのかは不明のままだ。電磁波エネルギーを使った武器は世界中の軍に配備されているが、ここまで強力なものはないからだ。
CUNは、南シチリアの事件で観測された電磁波がラジオビーコンの周波数と近いことから、この周波数を使えば、UFO/USOとコミュニケーションが取れるだろうということまで突き止めていた。しかし、軍のヘリが攻撃を受け、町では大量の火災が発生していたことからも、コミュニケーションは慎重に行わなければならないと懸念された。

CUNから得た情報を手土産に、ルイスは、TTSAの同僚スティーブ・ジャスティスに会いに行く。スティーブは米航空機製造会社ロッキード・マーティン社の元エリート社員であり、軍用機開発などを主に手がける先進開発計画部門、通称スカンクワークスで31年間働き、同部門の先進システムのプログラム・ディレクターまでのぼり詰めた経歴を持つ。これまで撮影されてきたUFO/USOについて「部分的には作ることが可能だが、現在のアメリカのテクノロジーでは1つの航空機として作ることは不可能」だと断言する。
UFO/USOが「米軍の極秘戦闘機」や「ロシア、中国など外国軍の次世代戦闘機」である可能性はゼロではない。しかし、米軍のものだとしたらなぜ何十年にも渡る長期間、まったく公にしないのか不可解だ。そして、外国軍のものだとしたら、レーダーに捉えられることなく米国内に入り込み、米軍の動きを至近距離でモニターし、驚異的なスピードで消えるというテクノロジーを持っていることになり、「アメリカは相当な遅れをとっていることになる」とスティーブは指摘した。
もう一つの可能性、UFO/USOは、過去何十年も論議されているが確たる証拠を得ることができない「他の惑星から飛来した知能を持つ者たちの飛行物体」であるという可能性について、スティーブは、「(そういう者たちが)いないとは断言できない」、「知能を持つ生き物は我々地球に住む人間だけだという考えは甘いものだとも思っている」と話した。
昨年7月、ジョン・マケイン上院議員の働きかけにより、米国防情報局が「機密扱いを受けていないAATIPの書類全て」を一般開示した。その翌月の25日、マケイン上院議員は末期がんのため死去。残された時間を知った上で、命をかけて「国が持つUFO/USOの情報を国民は知る権利がある」と訴えてきたのだ。
開示された書類の中には「37 studies」という調査書がある。UFO/USOの構造を理解しようと様々なアングルから分析したもので、「不可視」「ワームホール(2つの離れた領域を結びつけるトンネルのような時空構造)」「反重力」などサイエンス・フィクションだとされているトピックスを真剣に調査したものである。
スティーブはこの「37 studies」に強い興味を抱いた。が、米国工科系大学の超名門校で世界屈指のエリート名門工科大学であるジョージア工科大学を卒業しているだけあり、UFO/USOは他の惑星から来た”エイリアン”だという仮説を立てることには嫌悪感を示した。
「UFO/USOを調査する中で、エイリアンに焦点を当てていくことには懸念する。スピリチュアルだ、次元の異なる世界から来たなどという話も出てきて、解決困難なごちゃごちゃした状態になってしまうからだ」と述べ、スティーブは「自分がそのような話に加わることは申し訳ないができない」ときっぱりと言った。しかし、その表情からは、自分のようなエリートがエイリアンを認めてしまえば、混乱を招くだろうと懸念しているようにも感じられた。