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朝日新聞
ペットボトルむしゃむしゃ 堺で発見の細菌、世界救う? --------------------------------------------------------------
https://digital.asahi.com/articles/ASM6F4PQ7M6FPLBJ006.html 2019年6月20日12時40分
堺市内で見つかった細菌が世界の注目を集めている。
ペットボトルを「食べる」性質があり、
プラスチックごみ対策の切り札にしようと各国で研究が進んでいる。
プラごみ削減は大阪市で開かれるG20首脳会議の主要テーマのひとつ。
大阪発の細菌が世界規模の課題の救世主となるかもしれない。
この細菌は堺市内のペットボトルの処理工場で、
京都工芸繊維大の小田耕平教授(現・名誉教授)らが見つけた。
発見場所にちなんで、2005年に「イデオネラ・サカイエンシス」と学名がついた。
その後、慶応大に在籍していた
吉田昭介さん(現・奈良先端科学技術大学院大特任准教授)らの研究で、
この細菌は特殊な2種類の酵素を出して、
ペットボトルなどの素材として利用されている
ポリエチレンテレフタレート(PET)を分解し、栄養源としていることがわかった。
厚さ0・2ミリのPETを、約1カ月で二酸化炭素と水にまで分解するという。
石油から人工的に作られるPET製品は、生物によって分解されないというのが定説だった。
16年に定説を覆す成果が論文発表されると、世界に衝撃が走った。
繊維会社など世界の大手企業から問い合わせが殺到。
分解メカニズムの解明のために、二つの酵素の研究に各国がこぞって取り組み始めた。
17年に中国科学院などの研究チームが
酵素のうちのひとつ「PETase(ペターゼ)」の構造を解析して、英科学誌に発表。
18年には構造をより詳細に調べた韓国の研究チームや、
チリの研究チームなどが次々と論文を出した。
英国の研究チームが酵素を改良して分解速度を少し速めることに成功すると、
英BBCは「 ペットボトルのリサイクルに革命をもたらし、
プラスチックをより効果的に再利用することを可能にする 」と報じた。
今年になっても、ドイツのチームが
もう一つの酵素「MHETase」の立体構造の解析に成功するなど、
研究競争は過熱している。
吉田さんらも効率よく分解させるための条件を探すなど競っている。
小田さんは「 時間はかかると思うが、堺で見つかった細菌が、
プラスチック問題を解決する糸口となるかもしれない 」と期待している。
BBC
プラスチックを「食べる」酵素に賭ける リサイクルの未来 ---------------------------------------------------------------
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-43794828 2018年04月17日
< 抜粋 >
英ポーツマス大学のジョン・マギーハン教授は話す。
PETが属するポリエステルという物質自体は、自然界で発生する。
「 ポリエステルは植物の葉を保護しています。
バクテリアは何百年もかけて、ポリエステルを食べるよう進化してきました 」
それでもPET分解への分岐は「 きわめて意外なこと 」で、
PETaseがどのような進化をたどってきたかの解明に、国際的な科学者チームが着手した。
英オックスフォードシャーにあるシンクロトロン施設
「 ダイヤモンドライトソース 」は、強力なX線照射によってPETaseの高画質3Dモデルを作り上げた。
構造を把握した次には、PETase表面の残留物を調整すれば
酵素の効き目が向上することに研究チームは気づいた。
つまり、自然界のPETaseはまだ完全に最適化されておらず、
人工的な操作の余地が残されていることになる。
研究チームはさらに、PETの代替品とされる
植物由来のポリエチレンフラン・ジカルボキシレート(PEF)という
プラスチックに対しても、PETaseを使ってみた。
PEFも、自然界での分解に時間がかかる。
「 この実験結果は衝撃的でした。
PETaseはむしろPETよりPEFに対して、効力を発揮したので 」と語った。
■ リサイクルの輪を閉じる
現行のリサイクル工程の結果、ポリエステル素材は徐々に劣化する。
ペットボトルがフリースになり、じゅうたんになり、最後には埋立地へと送られる。
一方で、PETaseを使う場合の変化は劣化ではなく、
ポリエステルの製造工程を原材料段階まで逆行することになる。
そのため、素材は再利用が可能となる。
大規模なリサイクルの経済性を獲得するには、
現状で数日かかるPET分解の速度を加速させる必要がある。
マギーハン教授は、これがプラスチック管理の転換点の始まりになると期待している。
【 動画 】バリ島近海のプラゴミの海を泳ぐダイバー
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00'48"
慶應義塾大学:プレスリリース
ポリエチレンテレフタレート分解酵素(PETase)の分解速度を劇的に向上する手法を開発
- 使用済みPET製品のバイオリサイクルの実用化に繋がる成果 - --------------------------------------------------------------------------
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2018/11/29/181129-1.pdf 2018年11月29日
慶應義塾大学理工学部生命情報学科の宮本憲二教授、川上了史専任講師、
大学院理工学研究科の古川洵 (博士 課程2年)と
京都工芸繊維大学の小田耕平名誉教授の研究グループは、
同研究グループが世界に先駆けて発見した
ポリエチレンテレフタレート分解酵素(PETase)の活性向上を目的として研究を行い、
微量の界面活性剤を添加するだけで分解速度を
100倍以上に向上させることに成功しました。
< 抜粋 >
本研究グループは、PET表面を親水的な分子で被覆することができれば、
PETaseとの接触が改善されるのではないかと考えました(図1)。
そこで、親水的なPETaseと疎水的なPETとの間をつなぐ分子として、
界面活性剤の利用を検討しました。
界面活性剤には、洗剤等に用いられるような一般的な分子を選択し、
これを添加した条件下でPET分解活性への影響を調べました。
すると、負に帯電する界面活性剤を添加した場合、著しく活性が向上し、
最大で100倍以上向上することを突き止めました。
本手法において、 必要な界面活性剤の濃度はわずか0.005%と極めて低く、
非常に 簡便かつ効率的にPET分解を加速することが可能です。
さらに、本反応系では酵素の 変性剤である界面活性剤を使用しているにもかかわらず
36時間以上 反応を継続できることが明らかになりました。
反応12時間後には、図2 に示すようにPET表面が白濁し、
顕微鏡での観察では無数の分解痕を観測 することができます。
さらに、反応36 時間後には、厚さが約20%薄くなることがわかりました。
※ つまり約1週間で完全分解?
このときの活性は、30°Cでの反応にもかかわらず、
70°C 以上の高温を必要とする耐熱性酵素の活性に匹敵し、
常温での効率的なPET分解が可能であることを示した初めての例となりました。
京大人間図鑑:Vol.16
吉田昭介 白眉センター 特定准教授
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http://research.kyoto-u.ac.jp/people/yoshida_shosuke/02/ 2017.04.14
< 抜粋 >
イデオネラ・サカイエンシスがどうやってPETを分解するのか、
遺伝情報をいろいろな角度から解析したところ、
最終的に2種類の酵素がはたらいていることを突き止めました。
この二つの酵素は、PETを好んで分解することがわかりました。
しかも、常温でよく分解する性質があるんです。
PETは高分子なので、酵素によって分解されると、
その構成分子であるテレフタル酸とエチレングリコールになります。
イデオネラ・サカイエンシスはこれらの構成分子を栄養にしています。
分子構造図説
http://research.kyoto-u.ac.jp/files/5214/9155/8253/KUR_People_16_Yooshida_02-01.jpg 高分子のPETは、2種類の酵素(PETaseとMHETase)によって段階的に分解される
どうしてこのような生物が誕生したのか、
そもそも生物がなぜPETを食べるのか、
食べたいから食べているのか、ほかに食べ物がないから食べているのか、
あまりおいしくないと思われるものを食べているときに何が起きているのか…。
生物はさまざまなトライ&エラーを繰り返して、
いろんなものを栄養にする術を身につけてきたんだと思いますが、
その進化や結果的に獲得したメカニズムを明らかにしていきたいと考えています。
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nueq
貼り付け終わり、
※ ニュークさん解説。
*素晴らしい(=・ω・=)にゃ~♥
一日も早く実現されたし!
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