■氷の中から発見された神秘の生命体4選!!
科学者にとって遺伝子解析の技術的な制度が高まることは、歴史を解明するだけではなく、我々の未来に貢献できる可能性をもたらしてくれる。
2種のDNAを切断して新たなDNAを作成する遺伝子組み換えや、クローン技術に関して熱を帯びる科学の世界で、数千年前に生存していた生物たちの遺伝的データは非常に貴重である。これから見ていただく例はその一部だ。
・ ケブカサイのサーシャ
・ マンモスのリューバ
体内に川底の泥が入り込んだことと永久凍土に4万2000年もの間埋まっていたおかげでリューバの皮膚と内臓はほぼ原形のまま残っていた。これまでにも良好な状態で発見されたマンモスの個体はあったが、幼体が発見されることは稀であり、その中でもリューバは最高の状態である。
・ アイスマンのエッツィ
イタリア最北の県ボルツァーノで発見されたエッツィと呼ばれるこの男性は、自然にミイラ化した世界最古の人類といわれる。
約5300年前に推定45歳で亡くなったエッツィは1991年にハイカーによって発見された。青銅器時代に暮らし、石器を使っていたとされるがエッツィの遺体と一緒に発見されたのは当時では非常に貴重な精錬された銅の斧だったという。
そして驚くべきは彼の赤血球が現代まで残っていたことだろう。科学者たちは今日、DNAの技術を駆使して数千年前に生きたエッツィの病歴を見ることができるのだ。またエッツィが発見されたボルツァーノには彼の遺伝子を受け継いだ子孫が19人も生存していることがわかっている。
エッツィはこれまでの調査でも羊の皮で作られた世界最古のコートを所持し、靴を履き、5千年前にもかかわらず衣服は5種類の動物の体毛を使い作られていたり、顎ひものついた帽子をかぶっていたであろうこと、また身につけていた物や胃の残留物などから驚くべき高度な文化のもとに暮らしていたことも判明している。エッツィはボルツァーノの博物館で保管・展示されており、日本や世界各国では、同博物館が作った精巧なレプリカが展示されている。
・アルタイの王女
巫女説、シャーマン説など謎は残る。 画像は「YouTube」より
「シベリアの氷の乙女」とも呼ばれるこのミイラは25歳で亡くなったと見られる女性であり、ロシアを構成する自治共和国、アルタイの古墳群で1993年に発見された。
2015年にトカナでも報じられたように調査の結果、当初は王女といわれていたが後に預言者だったという説が有力になった。女性のミイラの横に見られた大麻は、発見当初から医療目的で使用されたのだと考えられており、その後のMRIでの検査により女性は末期の乳がんを患っていたことや、落馬したであろう際に負った深刻な傷があることから、激痛を緩和するために大麻を用いていたのではないかという結論に達した。
2500年もの長い間、永久凍土の中で眠りについていたために良好な保存状態であったことが、彼女の医療履歴などを明らかにした大きな要因であろう。彼女は現在、アルタイ共和国の博物館で保管されている。
紀元前からの人類や生物を観察、研究できるということは地球の歴史を知る上で非常に重要な意味を持つ。これまでに報じられた生物の調査結果などに関しては既にご存じの方も多いであろう。しかし科学の進歩と共に、既存の検体から1つ、また1つと新たな発見があると思うと「何を今さら」と言われてもつい、書き記したくなってしまうのだ。