・マヌカの木には前述の通りの薬効があり、この花から採った蜂蜜「マヌカハニー」にも普通の蜂蜜には無い「薬効」があります。
・薬効を示す物質が何であるかはわかっていなくても、効果そのものは、遠い昔から活用されていて「マヌカハニーを食べている牛は病気にならない」と不思議がられていました。
・マヌカハニーの薬効は「殺菌・抗菌」性で、この独自の抗菌特性は何十年間も前から知られてきましたが、2006年になって始めて、科学的にドイツのトーマス・ヘンレ教授により抗菌特性を担うマヌカハニー中の化合物が食物メチルグリオキサール(MGO:Methylglyoxal)であると同定されました。
・メチルグリオキサール(Methylglyoxal)は1960年代に、ハンガリー人セント=ジェルジ・アルベルト(Szent-Gyorgyi Albert)によって発見されました(彼はビタミンCの発見と壊血病研究によって1937年ノーベル生理学・医学賞を授与されています)。
・メチルグリオキサールはケトンとアルデヒドの両方の性質を持ち蛋白質を変性させてしまうことから強い抗菌活性作用を持っています。またDNAの損傷等によって生じた異常細胞(発がん性細胞)に対しメチルグリオキサールはアポトーシス (apoptosis)を誘導する役目を果たしていると発表しています。
・メチルグリオキサールは食品中に普遍的に存在しますが、通常では最高でコーヒー、ココアなどの40mg/kg程度です。が、マヌカハニーにはその数十倍も含まれています。
・メチルグリオキサールには抗菌・抗ウイルス・抗発がん作用があります。
☆メチルグリオキサールの産生:マヌカ木花蜜中に含まれるジヒドロキシアセトン(dihydroxyacetone)が37度℃近辺の温度で徐々にメチルグリオキサールに変化していきます。ジヒドロキシアセトンはメチルグリオキサールの前駆体であり、つまり、メチルグリオキサールを生成する前の段階の物質であることが近年確認されています。従って、メチルグリオキサールそのものはマヌカ木花蜜中に含まれるものではなくミツバチがマヌカ花蜜を採取した後巣箱内の環境下で産生されます。
・マヌカ蜂蜜が出来るプロセスはミツバチ(働き蜂)のマヌカ木訪花によってミツバチの蜜胃と呼ばれる部位に採取した花蜜を詰め巣箱に持ち帰った働き蜂が巣箱内の内勤蜂に口移しで引き渡されます。その後、内勤蜂は働き蜂から受け取った花蜜を蜜胃から吐き出し、ミツバチの唾液中の酵素と混合しブドウ糖と果糖の単糖状態に転化します。それと同時にミツバチの体熱と羽根でまき起こす旋風によって水分を蒸散させ糖度80%以上の完熟ハチミツとして貯蔵します。このように高糖度にする目的は食料保存として安定度を得る、つまり、発酵などによる変質防止のためです。
花蜜の脱水過程で体熱によって37から39℃の温度で加温される段階で、マヌカ花蜜中のジヒドロキシアセトンがゆっくりとメチルグリオキサールに変化してゆきます。
このメカニズムについては興味深い報告があります。ジヒドロキシアセトンがマヌカ花蜜のように含有されない、または含有量が非常に少ないクロバー蜂蜜などにマヌカ花蜜中のジヒドロキシアセトンを注入し加温するとメチルグリオキサールが生成されます。
マヌカ蜂蜜以外の他の蜂蜜にはメチルグリオキサールはほとんど含有されていません。ので、これによってメチルグリオキサールの前駆体がジヒドロキシアセトンであることが説明できます。従ってマヌカ花蜜中には他の花蜜に無いジヒドロキシアセトンが多量に含有された唯一の花蜜といえます(マヌカ木花蜜中のヒドロキシアセトンからメチルグリオキサールが合成される反応メカニズムはまだ明確には解明されていません)。
・ニュージーランドでは、法律でミツバチに対する抗生物質使用が禁じられており、きちんと査察も行なわれています。 万が一、病気になった際は、焼却または埋め立て処分が行なわれます。ですから、「輸出証明書」の発行は、抗生物質無使用の証しともなります。
・注意:マヌカハニーと語感が似ている、紛らわしいカヌカハニー
においも似ています。しかし、このふたつはまったく違うものなので、混同しないように注意してほしいですね。マヌカが4mぐらい成長する低木であり、12月の4週間だけ、ひとつ一つ独立した8~12㎜の白い花を咲かせるに対して、カヌカは20mほどの高さまで成長し、9月から翌年2月まで、3~5㎜の小さな白い花を枝の先まで群集して咲かせます。
そして、何といっても異なるのは、マヌカには花のなかで抗菌成分MGOを生合成する作用があり、一方、カヌカにはそうした作用がないということです。したがって、マヌカハニーはすぐれた抗菌力をもつ貴重なハチミツですが、カヌカハニーはそうした抗菌力は認められません。
・ニュージーランドのハニーには2つのタイプがあり、抗菌物質であるMGOが含まれるものと、含まれないものがあるということです
・マヌカハニーには、抗菌物質のMGOのほかに抗酸化物質のSAMEシリング酸メチルが特異的に含まれています。
・マヌカハニーは「抗菌活性物質MGO」と
「抗酸化物質SAME」を含む唯一のハチミツです。
・ニューシーランドで、マヌカハニーが「ハチミツの王様」「世界で最も高級なハチミツ」などと称され、高い評価を得ているのは、特異的に強力な抗菌活性を示すためです(非加熱)。
☆薬効:「UMF10以上」のマヌカハニーは、ニュージーランドで医療用に使用されています。具体的には、「創傷治療」「口臭治療、歯周病、口内疾患、扁桃腺炎の治療」「皮膚疾患(ニキビなどを含む)の治療」「十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃がんの予防・治療」「糖尿病の併発症、長期療養患者の床擦れによる皮膚疾患の治療」などが挙げられます。
・モーラン教授はまた、20年以上にわたる熱心な研究によって、マヌカハニーにさまざまな有害菌に対して殺菌作用のあることを立証し報告してきました。黄色ブドウ球菌、ヘリコバスター・ピロリ菌、ストレプトコッカス・ミュータンス菌、大腸菌、サルモネラ菌、霊菌、化膿連鎖球菌、緑膿菌など挙げていったらキリがないほどです。
・腸内環境を整える働きが強いので免疫力が増強されます。
・ハチミツは酸性(pH3.2~4.5)で、メチルグリオキサールは異常蛋白質を変性させてしまうことから病原体を殺傷することが可能、ウイルスも不活化できます。大腸菌やピロリ菌の殺菌、風邪、インフルエンザ、口内炎、虫歯予防、歯周病、切り傷、火傷、喘息、咳・・・がん治療
・参考サイト
・「MGO100」は、「マヌカハニー1kg中にMGO100mg以上」が含まれることを示します。マヌカハニー中のMGO含有量は、およそ30~700mg/kgです。
・マヌカハニーにおけるUMF等級とMGO含有量(mg/kg)との相関関係をみると、「UMF10」=「MGO100」、「UMF20」=「MGO400」、「UMF25」=「MGO550」を示しています。ですから、ニュージーランドで医療用に用いられている「UMF10以上」は、「MGO100以上」に相当することになります。
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